アルノーの保有資産は2020年3月時点で760億ドルだったが、LVMHの業績がパンデミックの中で急拡大したことを受けて、14カ月間で1100億ドル以上も増加した。
フェンディやクリスチャン・ディオール、ジバンシィなどの有名ブランドを傘下に持つLVMHの株価は、24日の取引開始から数時間の間に0.4%上昇し、時価総額は3200億ドルに到達。アルノーの持ち株の価値は6億ドル以上増加した。
LVMHの株価とアルノーの資産の上昇は、欧州の高級ブランドとファッションハウスがロックダウン中に目覚ましい成長を遂げたことを象徴している。
ジェフリーズのアナリストのフラビオ・セレダによると、LVMHは中国における需要の高まりを追い風に業績を伸ばし、2021年第1四半期の売上は前年同期比32%増の170億ドルを記録した。
一方で、サンローランやアレキサンダー・マックイーン、グッチを所有するケリンググループCEOのフランソワ・ピノーの保有資産も、2020年3月以降に270億ドルから551億ドルに増加した。シャネルの共同オーナーを務めるヴェルテメール兄弟(ジェラールとアラン)の保有資産は現在350億ドルで、2020年時点の170億ドルから2倍以上に伸びている。
さらに、ロレアル創業者の孫のフランソワーズ・ベタンクール・メイヤーの資産も、同期間に400億ドル近く増加し、24日に878億ドルに達していた。
フォーブスの世界の富豪ランキングの上位は長年、米国人が主要なポジションを占めてきた。過去20年ほどの間で1位に立ったのはジェフ・ベゾスやイーロン・マスク、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットなどの米国人が主で、唯一の例外が「メキシコの通信王」と呼ばれるカルロス・スリム・ヘルだった。
LVMHのアルノーがトップ10入りを果たしたのは2005年のことで、その当時の保有資産は130億ドルだった。その後、2018年以降はトップ5に入り、2019年は保有資産760億ドルで3位に入っていた。さらに、2019年12月16日には一時的ではあるが、ジェフ・ベゾスを抜いて世界一の富豪となっていた。
パンデミックが始まって以来、世界の富豪たちの保有資産は乱高下し、多くの人が数十億ドル単位で資産を変動させている。イーロン・マスクは、2021年1月にごく短い間ではあるが世界トップの富豪となり、その保有資産は1897億ドルに達していた。彼の資産は2020年3月時点で246億ドルだったが、その後1年足らずの間に1650億ドルも増加していた。