フォーブスの試算によると、暗号通貨で富を築いた世界12人のビリオネアは、合計155億ドル(約1.7兆円)の損失を出し、総資産は623億ドルから468億ドルに減少した。
ドルベースで最大の敗者は、デリバティブ取引所FTXのCEOで、アラメダ・リサーチの共同創業者のサム・バンクマン=フリードだ。ウォールストリートの元トレーダーで、現在29歳の彼は、今年のフォーブスの「世界の富豪ランキング」でLiDARメーカー「ルミナー」創業者のオースティン・ラッセル(26)と並んで、世界で最も若いセルフメイド(叩き上げ)の富豪の一人として紹介されていた。
バンクマン=フリードの保有資産は5月10日時点では167億ドルだったが、19日には115億ドルにまで減少した。彼の資産の大半は、FTXの株式とトークンに由来しており、FTXトークンの価値は5月10日以降に37%下落した。
フェイスブックの創設をめぐりマーク・ザッカーバーグと対立したことで知られるウィンクルボス兄弟(タイラー・ウィンクルボスとキャメロン)も、9日間でそれぞれ9億ドルの資産を喪失し、現在のそれぞれの保有資産は24%減の29億ドルとなっている。
彼らはフェイスブックの訴訟で得た6500万ドルの和解金の一部を、2012年にビットコインに投資し、2014年に取引所「ジェミニ」を設立した。
また、資産の減少率が最も大きかったのが、マイクロストラテジーCEOのマイケル・セイラーだ。彼は、2020年10月に当時1億7500万ドル相当のビットコインを購入したほか、自身が経営するビジネス分析ソフトウェア会社「マイクロストラテジー」をビットコインへの投資に誘導し、11億ドルの投資を行った。
セイラーの保有資産はビットコインのピーク時には33億ドルだったが、過去9日間で45%減少し、18億ドルになった。
暗号通貨のジェットコースター相場は、「イーサリアム」の共同開発者であるヴィタリック・ブテリンの保有資産にも巨大なダメージを与えた。ブテリンは、イーサの価値が3300ドル近くに達した5月3日にビリオネアの仲間入りを果たし、12日にイーサの価値が4300ドルを超えた際の保有資産は14億ドルだったが、最近の暴落により約8億5000万ドルに減少した。