ABCニュースとイプソスが先週、500人以上の米国人成人を対象に実施した世論調査で、全体の3分の2近くの約64%が今後1年間の国の方向性について楽観的であると回答した。この数値は、2006年に2期目のジョージ・W・ブッシュ政権が記録して以降で最も高い水準だ。
しかし、楽観的な見方が高まる一方で、全体の半数近く(48%)は、バイデン大統領の就任以降に国の一体感は高まっていないと回答し、28%は分裂が進んだと答えていた。
米国人が最も対立している問題は増税に関わるもので、約半数が「景気刺激策のためには増税もやむなし」と答えたのに対し、約47%は「追加の財政支援を見送ってでも、現状の税率を維持すべきだ」と回答した。
また、共和党員の圧倒的多数(78%)が「税率を据え置くことの方が重要」と回答したのに対し、民主党員の80%が「景気刺激策のための支出が重要」と答えており、両者の違いが鮮明になった。
さらに、「大統領は重要な問題について、共和党のリーダーと妥協するための十分な努力をしているか」という質問に対して、「適切な努力をしている」と答えたのは約51%で、「少なすぎる」と答えたのは39%だった。
バイデン大統領は4月28日の就任後初の施政方針演説で、1.9兆ドルの追加経済対策(アメリカ救済計画)や、政権発足100日以内にワクチン接種1億回としていた目標を大幅に超える2億2000万回を達成したことをアピールした。しかし、世論調査では米国人の75%以上が経済状況を「非常に懸念している」と回答し、銃規制や不法移民などの問題に対する懸念もここ数週間で一気に高まっている。
議会は7月4日までにバイデンのインフラ提案を可決しようとしており、増税と財政支出をめぐる議論は、今後2ヶ月の間にさらに激化する見通しだ。共和党員や一部の民主党員らは、バイデンの提案する増税に反対しているが、増税は4兆ドル近い支出を賄うために不可欠なものとなっている。