大統領経済諮問委員会(CEA)のジャレド・バーンスティーン委員とアーニー・テデスキ上級エコノミストは12日、ホワイトハウスのウェブサイトにブログを投稿し、そのなかで向こう数カ月にインフレ率の上昇を引き起こしうる3つの要因を挙げた。
1つめは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのピークだった昨年春に物価が異常に下がった結果、前年比での物価上昇率が歪んだ形で表れること。2つめは、パンデミックによるサプライチェーンの混乱で一部の材料が値上がりし、それが価格に転嫁される可能性があること。3つめは、数カ月におよぶロックダウンや営業制限などで需要が繰り越され、それに乗じた値上げが行われる可能性があることだ。
バーンスティーンとテデスキは、これら3つの物価上昇圧力はいずれも短期間の一時的なものとみていると強調するとともに、短期的なインフレ率上昇はこれまでも米経済の激変期後に起きてきたことだと説明している。
そのうえで、向こう数カ月のインフレ率について「これら3つの一時的要因によって緩やかに上昇したあと、徐々に鈍化し、実際のインフレ率は長期的な予想に近づいた水準で推移し始める」可能性が最も高いとの見通しを示している。
バンク・オブ・アメリカが先月実施したファンドマネジャー調査では、全体の37%がインフレを市場にとって最大のリスクに挙げた。これに対して、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は11日に放送されたCBSのインタビューで、米経済にとって第一のリスクは新型コロナウイルス感染症がさらに急速に広がることだとの認識を示している。
パウエルやジャネット・イエレン財務長官らバイデン政権の当局者は、インフレ率は短期的に上昇するだろうが長期的には懸念していないと繰り返し強調している。FRBは昨年夏、2%の物価上昇率目標に関して「一定期間の平均で2%のインフレ率」に変更し、一時的に2%を超えることを容認している。