そもそも、多くの自治体が同社と協定を結ぶに至った背景には、同社施設である「イオンモール」が多くの市⺠にとって馴染みのある、地域に根ざした商業施設であることが理由として考えられる、と鈴木氏は言う。
実際に、イオンモール周辺には、その利便性の⾼さから、学校や病院といった公共施設、娯楽施設など、人々が集う場所が集まってくるという現象が日本各地で起きており、同施設を中⼼としたミニスマートシティ化現象は、⾃然淘汰的に発⽣しているのだという。
外せない「デジタル化」 イオンの現状は
3月30日、イオンは埼玉県川口市に新たなショッピングモール「イオンモール川口」を5月28日にグランドオープンすると発表した。AIを活用した効率的な接客といった新たなデジタル技術も多く取り入れ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使した、イオン初の本格的な「スマートストア」だという。
イオンは2017年に、2020年に向けた中期経営方針の柱のひとつとして「デジタルシフト」を掲げ、館内移動用の電動カートや従業員向けの業務用タブレット端末など、すべての分野でデジタル化を推進している。現在、各自治体それぞれで行なっている取り組みが今後は相互連結し、2030年頃には、それらすべてを実装した「スマートイオン」の完成を目指すと鈴木氏は言う。
「スマートイオンはたんなる理想像ではなく、実装の手段を持ち、その準備をしている段階だ、と考えていただいて結構です。そして、たとえひとつの目標を達成しても、世の中が変わっていく限り、われわれも常にアップデートしていく。イオンが日本の未来都市を創造する一役を担う日を目指して、私たちは進化し続けます」