世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

マレーシア・ジョホールバル市にあるイオンモール(shutterstock.com)

世界各地でプロジェクトが進行している「スマートシティ」構想。国内における取り組みでは、トヨタが2020年1月に発表した「ウーブン・シティ」を思い浮かべる人は多いだろう。

スマートシティというと「まちのデジタル化」の面ばかりが先行しがちだが、テクノロジーの活用は手段にすぎない。本質は「住みやすいまちづくり」であり、人々が安心・安全に暮らせる持続可能な環境を整えていくことだ。

世界14カ国に事業展開し、売上総収入約8.6兆円、小売業世界第13位、日本第1位の流通グループ「イオングループ」は、1991年から開始した植樹活動をはじめ、持続可能な環境づくりにいち早く着目し、展開してきた。

2008年には「イオン温暖化防止宣言」、2012年には「イオンのecoプロジェクト」を策定。2018年3月には、2050年に向けて「脱炭素社会」の実現を目指すという「イオン脱炭素ビジョン2050」を発表した。また、2013年には、イオンのサステナビリティにおける重要な取り組みとして「スマートイオン」を掲げている。

多くの持続可能な取り組みを推進するイオンが、未来を見据え、ゆっくりと、しかし着実に進むその先にあるものとはいったい何か。イオングループ全体の環境方針を策定、また「スマートイオン」を推進する部署でもあるイオン 環境・社会貢献部の部長、鈴木隆博氏に聞いた。



スマートイオン実装に必要な「5つの基準」


「イオンは、2005年より、従来型店舗と比べてCO2排出量を20%以上削減し、その他太陽光パネルの設置や壁面緑化などを導入した店舗を『エコストア』と定義づけ、環境にやさしい店舗づくりを進めてきました。2013年2月までに、12店舗のエコストアがオープンしました」

2012年、これをさらに進化させた取り組みが、次世代エコストア「スマートイオン」なのだという。スマートイオンは、従来の環境負荷の少ない店舗づくりに加えて、節電や省エネに対する社会的ニーズの高まり、今後予想される慢性的な電力供給不足、また東日本大震災の教訓を踏まえ、地域と共同で防災対策などに取り組む「まちづくり・コミュニティづくり」の視点から見た5つの基準を取り入れているという。

null
スマートイオンの5つの基準

【スマートイオン5つの基準】
1. スマートエネルギー
エネルギーを地域で効率的に融通しあう仕組みの構築などを推進する。

2. 電子マネー・ネットとの融合
イオンの電子マネー「WAON」やインターネット環境を積極的に活用し、環境に負荷をかけないショッピング環境やサービスを提供する。

3. 防災・地域インフラ
緊急時、地域の防災拠点として機能する店舗づくり。自家発電設備などの設置。

4. 生物多様性・景観
自然の要素を取り入れ、景観や生物多様性を意識した店舗設計を推進する。「イオンふるさとの森づくり」

5. 交通環境(スマートモビリティ)
人と環境にやさしい交通環境の創出をめざす。電気自動車(EV)充電ステーションの設置

取材・文=長谷川寧々 写真提供=イオン

PICK UP

あなたにおすすめ