では、この数年でバズワードのようになった「心理的安全性」を自らの組織やチームに実装するにはどうしたらよいか?
7万部以上を発行した『心理的安全性のつくりかた』の著者であり、日本における心理的安全性のリーディング・カンパニーである「ZENTech」取締役の石井遼介氏に解説いただいた。
心理的安全性 2つの導入パターン
筆者が取締役を務めるZENTechでは、これまで大企業の役員研修から管理職研修・社員講演会など、「心理的安全性の研修」を100社以上に実施し、「心理的安全性 4つの因子」を計測する「組織診断サーベイSAFETY ZONE(R)」によって1万名以上の心理的安全性を計測してきた。
また、大企業の役員・部課長からベンチャー経営者などが会社・組織の垣根を越えて自社・自部署へチームの心理的安全性を構築する「心理的安全性 認定マネジメント講座」という3カ月間のプログラムも実施している。これまで14期・200名以上の管理職の方々と心理的安全性構築の旅を並走し、サポートしてきた。
上記の3サービスを併用しながら、組織開発コンサルティングとして、より深くクライアント組織へ入り込み、「心理的安全性導入の全体戦略の設計」や、組織の目指す先を決める「ミッション・ビジョンの策定」に携わることもある。
ここでは、それらの取り組みから見えてきた導入の指針について、2パターンに分けて説明したい。
パターン1:メンバーの立場から
いちチームメンバーとして「心理的安全性」をチームや組織に導入するには何ができるか。3つのアクションとそのポイントを紹介しよう。
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・心理的安全性の構築に繋がるアクションに対し、感謝を伝える
最も実行しやすいのが、「感謝を伝える」ことだ。上司、同僚、先輩後輩など周囲の人が、あなたが心理的安全性を感じるアクション(例えば、あなたが意見を言いやすくなった声掛けや、素朴な質問をした時に真剣に受け止めてから返答してくれた場合など)に、御礼を伝えることだ。
みんなの前で言いにくいなら「課長、先程の会議での声掛け、まだ思考が整理されていなかったのですが、あんな風に投げかけて頂くと、意見が言いやすくなって、大変助かりました。ありがとうございました」などと、会議終了後に言いに行くのも有効だろう。あなたなりの視点で、理由をつけて感謝を伝えることが重要だ。