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2021.04.01 12:30

ANA国際線機内食がネットで30万食以上完売。「非航空事業」模索の現況と行く先

ANAがオンライン販売した冷凍された国際線機内食「まんぷく3種詰め合わせ」:シーフードドリア(画像提供:ANA)


勝因は「機内と全く同じものを販売」したこと


この機内食事業に対して、航空・旅行アナリストの鳥海氏は「機内食をアレンジするのではなく、機内と全く同じものを販売したこと」が成功要因だったと考えている。旅行したくてもできないという一定数あった需要の中に潜む、「非日常感を楽しみたい」という声に上手くアプローチできた事例といえるのではないだろうか。
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そもそも通常の機内では基本的に和食か洋食の2種類から1つを選んで食べるので、複数のメニューを食べ比べることは難しい。さらに機内食のメニューは3カ月ごとに変わることも考えると、和食と洋食メニューを3種類ずつ食べ比べられることは希少な体験だともいえる。

「機内食のネット販売」開始の背景についてはどうか。

機内食はイレギュラー発生などに備えて想定旅客数よりも多めに製造され、冷凍保存される。しかし、賞味期限が過ぎてしまえば当然、廃棄処分される。つまり、まだ商品価値があるのに処分せざるを得なかった機内用品を有効活用することについて、当初はフードロス削減の背景があった。
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しかしANA広報部は、「お客様から『自宅で機内食を楽しみたい』というお声が多くあったことや、販売後に多くのご好評があったため、販売を続けることに決定した」と話す。

フードロス削減を端緒とし、顧客満足につなげる新たな収益モデル構築の例ではないだろうか。

「遊覧飛行」、そして機体を利用したレストランも


類似した事例を挙げると、FLYING HONU(フライングホヌ)の遊覧飛行ツアーがある。

「FLYING HONUとは、日本の航空会社では現在唯一運行している総2階建て飛行機「エアバスA380」のことだ。去年の3月25日にホノルル空港から成田空港に到着したあと、コロナ禍の影響で旅客便としての運行を休止していたが、同年8月、9月、11月、そして12月になんと、成田空港発、着という90分間の「遊覧飛行」を開催した。今後、再度の予定もあるという。

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ANAのFLYING HONU「エアバスA380」(Shutterstock.com)

飛行機は、たとえば「旅客を運ぶ」目的では飛行を休んでも、整備作業の一環としては、定期的に飛行することもある。運休している間も、機体の安全性は常に確認する必要があるのだ。

そういった航空会社側の必要性と、HONUに乗りたいという旅客側の需要をつないだのが「遊覧飛行」だ。成田ーホノルル間を実際に利用するより安価な値段でオリジナルグッズのお土産をもらえ、エコノミークラスからファーストクラスので座席を体験でき、ドリンクサービスも受けられる。会社側としても、単なる整備フライトから、HONUの魅力を知ってもらう機会に転換できる。そのうえコロナ収束後の利用者の獲得に繋がる機会になり得るため、収穫だったといえるだろう。
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文=アステル 編集=石井節子

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