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(c) ANA

新型コロナウイルス感染症のためにわたしたちが旅行を控えるようになってから、まる1年が経過した。多くの人が旅行に行きたい気持ちを募らせており、日本人もその例外ではない。しかし、日本では首都圏を対象とした緊急事態宣言が3月21日をもって解除されたばかりで、ワクチン接種率も17日時点で0.3%にとどまっているのが現状だ。

そんななか、旅行への高まる欲求を少しでも満たそうと、日本人が考え出したアイデアは、たいていのアメリカ人にはけっして思いつかないようなものだった。それは、機内食を家で食べる、というものだ。

日本最大の航空会社である全日本空輸(ANA)は昨年12月11日、利用者からの要望に応えて、国際線のエコノミークラスで提供している機内食のネット販売を始めた。同社の予想をはるかに超える注文があり、すぐに完売した。ANAはこれまでに26万4000食を販売し、売り上げは3月12日時点で2億円近くにのぼっている。

機内食販売の予想外の人気はANAにとって朗報になった。同社は以前は1日最大3万食の機内食を製造していたが、コロナ危機の発生後、その数は90%も落ち込んでいたからだ。

ANA広報部の竹内麗によると、機内食は同社のオンラインショップで発売するたびに、毎回、平均で45分以内に売り切れ、「牛すき焼き丼」や「ビーフハンバーグステーキ・デミグラスソース」など、なかにはわずか5分で完売したものもあるという。

オンラインショップでは12食セットで販売しており、価格は9000円。「鶏もも唐揚げ油淋風ソース」、「シーフードドリア」、「ビーフハンバーグステーキ」各4個というふうに、冷凍のメインディッシュ3種類の詰め合わせとなっている。機内と同様に、電子レンジで数分温めると食べられる。

上空では地上よりも味覚が鈍感になるため、機内食ははっきりした味付けになっていることで知られるが、ANAケータリングサービス総料理長の清水誠シェフによると、客は機内とまったく同じ味覚体験を求めていることから、家庭向けに味付けを変えることはしなかったという。ネット販売を通じて、機内食がおいしいものであることを知ってもらいたいと清水は望んでいる。

竹内は、需要を満たすため今後も機内食の販売は続けていく予定だとし、コロナ禍が落ち着いたあとは、機内食のクオリティの高さからANAを選んでもらえるようになっていれば幸いだと述べている。

ANAは3月31日、羽田空港に駐機したボーイング777で機内食を楽しめるイベントも開催する。参加者はビジネスクラスまたはファーストクラスの座席に対人距離を確保して座り、それぞれのクラスで提供されている機内食をフルコースで味わえる。価格はビジネスクラスが1人29800円、ファーストクラスが同59800円で、チケットはすでに完売している。

編集=江戸伸禎

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