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2021.04.01 12:30

ANA国際線機内食がネットで30万食以上完売。「非航空事業」模索の現況と行く先


さらにANAは2021年3月31日に、駐機させた飛行機をレストランにし、機内食を提供するといった「翼のレストランHANEDA~地上でファースト・ビジネスクラス体験~」イベントを開催したが、好評だったため4月も11日間、計22回の実施を決定したという。

その名も「翼のレストランHANEDA~地上でファースト・ビジネスクラス体験~」で、普段は国際線の長距離路線を運行している大型機B777-300ERの機材が使われる。ファーストクラスとビジネスクラスの機内の食事・ドリンクサービスを楽しめるだけでなく、国内線のラウンジサービスも利用可能ということもあり、料金こそ割高だがサービス内容は魅力的である。

「日常生活にもっと近いサービス」で起死回生


ANAは1月29日にグループ全体の連結決算を発表し、2020年4〜12月期2021年度の黒字化を目指す方針に変わりはないという目標を維持する考えを示した。

非航空事業によって航空事業を補完することは難しいと言わざるを得ない。だが、機内食などの機内用品の販売や航空機の遊覧飛行という取り組みは、「持っているリソースをどう活用するか」という視点に立ち収益モデルを編み出したという点において評価できる。

閉ざされた空間であり、かつ物品数も限られる、という特殊な環境を想定したハード面(機材や物品)とソフト面(サービス分野におけるノウハウ)のリソースは、航空会社特有の資産だ。まだまだ活用し切れていないものを、従来の
スタンダードに囚われることなく収益モデルに組み込むことで、少しでも黒字化に繋がることを期待する。

前出の航空・旅行アナリスト、鳥海氏は今回の取材の最後に以下のように語った。

「各社が非航空事業を模索する中で、昨年から仕掛けてきたFLYING HONU(フライングホヌ)の遊覧飛行などの施策がこれからようやく収益化できてくるタイミングなのではないかと考えられる。この傾向はしばらく続くと思われるため、マイル会員をベースにしたANAのスーパーアプリなどの事業からも目が離せない状況が続くだろう。日常生活にもっと近いサービスを展開していく姿勢は今後も益々強くなるはずだ。

とはいえ、航空事業の動きも合わせて追い続ける必要があり、国内線需要は戻ってきている中、あとは国際線の需要がどこまで戻ってくるのかが今年のポイントとなる」。


#中食

文=アステル 編集=石井節子

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