ゲイツは2月に気候変動に関する著書「How to Avoid a Climate Disaster(気候災害を回避する方法)」を出版したばかりだが、当日は海水から塩分を除去して淡水(真水)を作り出す海水の淡水化について多くの時間を割いた。
Sahil Razaという名前のユーザーは、このように問いかけた。「ヘイ、ビル。海水淡水化は、今後数年間の世界的な水不足の問題にどのような影響を与えると思う?」
「水は豊富にある。問題は、海水を淡水化して必要な場所に運ぶのにコストがかかることだ。農業で使用する水には莫大なコストがかかる」と、ゲイツは答えた。
その時、突然議論に割り込んできたのがレディットの元CEOのイーシャン・ウォン(Yishan Wong)だった。彼は、「太陽光エネルギーの活用によって、淡水不足の問題は今後10~20年で完全に解決する可能性が高い」と宣言したのだ。
ウォンは、538ワードのコメントを書き込み「この問題は、太陽電池の価格が下がり続けているため、以前ほど大きな問題ではなくなっている」と述べた。ペイパルとフェイスブックに勤務した後に、2012年から2014年にかけてレディットのCEOを務めたウォンは現在、ハワイの原生林の復元を促進する企業「Terraformation」のCEOを務めている。
同社は先日、「世界最大の太陽光発電による海水淡水化システム」を構築し、生態系の回復を妨げる水不足の問題を解決しようとしている。
ウォンによると、水の輸送コストの大半は、水を汲み上げる際に必要なエネルギーだという。そこで、ソーラー発電のポンプを用いて水を汲み上げ、高い位置にあるタンクに貯蔵しておけば、必要な時に、エネルギーコストをかけずに楽に水を運べるようになるという。
海水の淡水化は、コストがかかるだけでなく、塩水を排出する点もネックになっているが、ウォンが作り上げたシステムは、その問題にも対処できるという。
Terraformation社のシステムは、海から直接ではなく、海に近い井戸から水を汲み上げるため、海水の約25%の塩分を含んだ水と、塩分を含まないきれいな水を生成できるという。
塩分を含んだ水は、耐塩性の植物への灌漑に利用可能だという。同社はこのような仕組みで、エネルギー消費を抑えつつ、水を有効活用できるシステムを整えている。