過去の研究では、睡眠不足や睡眠障害が炎症性サイトカインの産生とヒスタミンの合成を促進し、それによって免疫系に悪影響が及ぶと考えられること、睡眠不足が抗体の産生量を減少させることなども明らかにされている。
また、睡眠不足はA型肝炎、B型肝炎、ブタインフルエンザ(H1N1)のワクチンに対する抗体反応を低下させる可能性があり、たった一晩の徹夜でも、効果に影響が出ることが分かっている。
一方、英シンクタンクNNEdPro Global Centre for Nutrition & Healthのメディカルディレクター、ミナ・ラジプットレイ医師は、「睡眠不足のときには、高カロリーや脂質、砂糖、塩分が多い食品を取りたくなります」と指摘する。
睡眠不足に加え、特に強いストレスを感じていたり、シフト勤務で無理のある生活パターンが続いていたりすれば、さらにそのような状態になり、全般的な健康・ウェルビーイングにダメージを受けることになるという。
そのほか、感染リスクに影響を及ぼす要因は、睡眠だけではないことにも注意が必要だ。昨年発表されたある調査結果では、どのウイルスでも、暴露した人の中に感染して発症する人とそうでない人がいることには、それぞれの運動量や社会的支援の有無、ストレスレベル、喫煙習慣、飲酒量、その他の要因が関連していることが示されている。
ただ、いずれにしても、新型コロナウイルスのワクチンを接種するまでの間は特に、十分な睡眠時間の確保を優先させることが重要だといえそうだ。