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十分な数の人々が新型コロナウイルスのワクチンを接種したあと、パンデミックがもたらしたこの低迷から米国を一気に救い出し、景気拡大の高みへと連れて行ってくれるものとはいったい何なのだろうか。それは、多額の貯蓄だ。人々は、コロナ禍のあいだにため込んだお金を、喜んで消費に注ぎ込むだろう。

知っての通り、米国の消費者たちが狂ったようにオンラインショッピングにいそしむ一方で、ショッピングモールは活気を失い、閑散としている。アマゾンなどのeコマースによる影響で、ショッピングモールがかなり前から衰退へと向かっていたのは事実だ。パンデミックが発生する以前から、若者たちはショッピングモールをぶらつくことを好まなくなっていた。

しかし、パンデミックの終息が宣言されれば、多くの人がオンラインショッピングに限らず、消費に向かうとみられている。マッキンゼー・アンド・カンパニーが2021年1月に公表した調査は、「リベンジ消費」が相次ぐと予測し、こう述べている。

「抑え込まれていた需要が解き放たれて、さまざまな業種で一気に消費が進むだろう。これまでも、景気が低迷するたびに同じことが起こってきた」

そして、最も大きく潤うのは、「人々が集まること」で成り立つビジネス、つまり飲食店や娯楽施設になるとしている。

旅行業界が、どのくらいの速さで回復するかはわからない。最初に戻ってくるのは、余暇を楽しむ旅行者になる見通しだ。それに対してビジネス旅行者は、少なくともはじめのうちは戻りが遅いだろう。けれども、率直に言わせてもらえば、Zoomなどを使ったオンライン会議は、対面による会議と同じではないし、オフィスの廊下で交わす雑談ほど有益でもない。

企業の合併・買収(M&A)については、増加傾向にあるものの、買い手は不満をもらしている。買収を検討していても、相手企業に足を運んで実際の経営状況を確認することができないからだ。工場はきちんと稼働するのか、それともバーチャルツアーだからよく見えるだけなのか、わからないわけだ。

パンデミック終息後の楽観的な消費見通しを後押ししているのは「現金」だ。つまり、これまで抑え込まれてきたが、まもなく解放されるとみられる需要の背後に存在する現金のことだ。米商務省経済分析局のデータによると、貯蓄率(個人の収入に占める貯蓄の割合)は、2021年1月に20.5%と急上昇した。これは1960年以来の高水準だ。

1960年からの60年間で貯蓄率がもっとも高かったのは1975年5月で、その時は17.3%だった(2020年4月には、広範囲なロックダウン実施によるパニックで一時的に貯蓄率が33.7%まで急上昇したが、それは除外している)。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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