現在24歳のドブリックは、リスよりも8歳年下だ。「彼らと仕事をしていると、かつてアラバマ州で学生ボランティアと仕事をしていた頃を思い出す。リーダーとしてビジョンを提示していくことの重要性を再認識している」とリスは話す。
デビット・ドブリック(Getty Images)
1996年生まれのドブリックは、6歳当時にチェコスロバキアから家族と共に米国に移民したドリーマー(幼少期に親と米国に不法入国した若者)で、選挙権を持てないでいる。その彼は、昨年の大統領選挙でテスラを無料でプレゼントするのと引き換えに、投票登録を促すキャンペーンを実施し、10万人を超える人々を登録させていた。
写真SNSアプリであるDispoに政治色は薄いが、すでに世界で400万ダウンロードを突破したこのアプリは先日、移民の子供の学生を支援する団体の「United We Dream」に寄付を行った。
そして、これまで4回も来日し、焼酎の認定アドバイザーの資格を取得したという、大の日本好きのリスが率いるDispoは、米国発のアプリとしては異例なことに、日本を第一の海外進出の拠点として選び、すでに日本のカントリーマネージャーの選考を終えたという。
しかし、ここに来てDispoは思わぬ乱気流に直面した。3月17日、ビジネス・インサイダーはドブリックの番組に2018年に出演した女性が、撮影チームから暴行を受けたと主張しているとの記事を掲載した。この件を受けてドブリックは動画を公開し、問題を起こしたとされるチームのメンバーからはすでに距離を置いていると述べ、人々を失望させたことを謝罪した。
フォーブスジャパンが18日に行ったインタビューで、DispoのCEOであるリスは、「この件についてはすでにドブリックが謝罪しており、特にコメントはしない」との回答だった。しかし、その後も騒ぎは収まらず、22日には出資元の一社であるSpark Capitalが「Dispoとの関係を断つ」と宣言し、ドブリックはDispoの取締役を辞任した。
2007年にハーバードに入学したリスは、彼より6歳年上のマーク・ザッカーバーグが、同じ大学の学生寮からフェイスブックを世界的SNSに押し上げていく過程を間近で目撃した世代の一人と言える。TikTokやクラブハウスが牽引する「ソーシャルメディア3.0」の覇権争いに、「この瞬間を生きる」というテーマを掲げて乗り込んだ写真SNSアプリ、Dispoの動きを今、世界が注視している。