SNSアナリストのジェレマイア・オウヤンが指摘しているように、クラブハウスのような音声SNSアプリは、ビデオ会議は面倒だがテキストでのやり取りでは物足りない場合に最適だ。この分野にはツイッターの「Spaces」やソナーといった新興プレーヤーから、チョーク、ディスコード、ロッカー・ルームといったサービスまで、25もの競合が存在するものの、どれも突出していない。そうした中で、iPhoneのみに対応し、招待制で、まともな公式ウェブサイトも用意していないクラブハウスが、完全な勝者となっている。
招待制を基本にするクラブハウスの成長モデルは、ここ最近はあまり見られなかったローンチ方法を想起させるものだ。クラブハウスのアプリは昨年3月、インターネット上に初めて登場したが、アップルのアプリベータテストサービス「テストフライト」で配信されたのは翌4月になってからだった。この時のユーザー数は1万人だった。
その後、10月上旬にアップストアでリリースされ、11月下旬にテストフライトのテスター1人につき20人の招待枠を与えたことで、ホッケースティック型の急成長が始まった。
ミュージカル版『ライオン・キング』の俳優陣がクラブハウス上でライブパフォーマンスを披露したり、イーロン・マスクが加入したりしたことで、知名度は上昇を続けた。最近の成長は、中国人ユーザーが大きく貢献している。中国では、当局による監視の目を避けて自由に会話をするためにクラブハウスが利用されてきた。
クラブハウスでは現在、ひっきりなしにイベントが立ち上げられており、オーディエンスが大小さまざまな規模のカジュアルな会話も行われている。それ以外でも、その気になれば多くの可能性が転がっている。