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「故人の暗号資産が負債となり、遺族に襲いかかることはあるのか」、「自分が死んだ後、見られたくないデジタル遺品はどうすればよいのか」──。

パソコン・スマートフォンなどのデジタルデバイスには、多くの個人情報が記録されている。この情報の持ち主が死亡し、遺品となった情報を「デジタル遺品」という。そして、デジタル遺品に対する死後の取り扱いについて考える活動を「デジタル終活」という。

葬儀社スタッフ、編集プロダクション勤務を経て、2010年からデジタル遺品や故人のサイト・SNSなどの取材を本格化したフリー記者の古田雄介氏。著書に『故人サイト』(社会評論社)や『スマホの中身も「遺品」です』(中央公論新社)などがあり、日本の「デジタル遺品、デジタル終活」研究の第一人者である。

自分や家族が、デジタル遺品に関して抱えうるトラブルにはどんなことがあるのか。また、それらを防ぐにはどうすれば良いのか。デジタル終活はいつ、どのように始めるべきなのか。デジタル遺品、デジタル終活に関するさまざまな疑問を、古田氏に解説いただいた。


圧倒的に多いトラブル「スマホのロックが開けない」


「デジタル遺品に関する相談で圧倒的に多いのが、故人の『スマホのロックが開けない』という問題です」

スマホのロックが開けないと、「アプリで管理している暗号資産の情報を確認したい」、「スマホ決済サービスの残高を確認したい」など、スマホに付随するその他すべての問題が解決できなくなってしまうからだと古田氏は言う。

加えて、スマホの「鍵」であるパスワードをユーザー自身がなくした場合、他にスマホのロックを解除する術がほとんど残されていないことも理由だという。

スマホのパスワードは、持ち主しか知らないケースが多い。パスワードを知らない他者がロック解除を試みた場合、アイフォンでは、10回連続でパスワードを間違えると初期化されたり、厳重なロックがかかってそれ以上手出しができなくなったりしてしまう。

それでは、アップルやグーグルなどのスマホメーカー、またはドコモやソフトバンクなどの通信キャリアに問い合わせればなんとかしてくれるかというとこれも難しい。端末の中身のサポートは受け付けていないし、マスターキーのようなものも原則提供していないからだ。では、パスワードを入力する他に、無理やりこじ開ける方法があるかというと、これもほぼない。

取材・文=長谷川 寧々 編集=石井 節子

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