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2021.03.07 11:30

800本の木々や1600種の生き物と共存。ミラノの街中に屹立する「直立樹タワマン」

Wonderfulengineering.com

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ボスコ・ヴェルティカーレは、イタリアの有名都市ミラノの中心部に広がる、緑豊かな落ち着いた佇まいの住宅地だ。高さおよそ80メートルの棟と、約112メートルの棟からなるツインタワーで、どちらも溢れんばかりの草木に覆われている。そびえ立つ2つの棟の蒼々たる外観から、ボスコ・ヴェルティカーレ(イタリア語で垂直の森という意味)と名付けられた。

木は約800本、他草植物は1万5000株


木や鳥のためのすみかであると同時に、人間が暮らす場所として、ボスコ・ヴェルティカーレは設計、建築された。壮大なデザインを手がけたのは、著名建築家ステファノ・ボエリが率いる設計事務所「ボエリ・スタジオ」(現名称はステファノ・ボエリ・アーキテッティ)と、そこに所属する建築家たちだ。2014年に始まった広範なリノベーションプロジェクトの一環として、彼らのデザインが採用された。緑溢れる住宅区画が竣工したのは同年10月のことだ。

ツインタワーは800本ほどの木々で彩られている。個々の木の高さは3m、6m、9mの3種類で、一番低い3mの木を300本、6mと9mの木を480本使用した。垂直の森の名で知られるだけあって、ツタ類と多年草植物が1万5000株、低木が5000本も植えられている。

植物でできた保護材のメリット


ボエリ・スタジオのウェブサイトによると、「石やガラスに含まれる『鉱物』でできた外壁とは異なり、植物でできた保護材は、太陽光を反射したり拡大したりせずにそのまま通すので、環境に有害な影響を与えることなく、室内の微気候を快適にする」そうだ。

いわゆるグリーンカーテンの効果で、棟内部の湿度を調整し、呼吸に適したきれいな空気を大量に生み出すのに役立つ。また、ここで育つ多くの植物は、二酸化炭素や微粒子の吸収もサポートする。このように複数のメリットがある機能性を兼ね備えているため、ボスコ・ヴェルティカーレは数々の賞に輝いた。



ボスコ・ヴェルティカーレという名称は、建築家が手掛けた住居に対する宣伝文句のようだ。しかし、現時点で何年もここに住み続ける住人たちも同じように高評価している。アメリカのニュース専門放送局CNBCの最近の調査によると、建物内にある膨大な量の植物によって、住民は大いに好ましい影響を受けていることがわかった。



シモーナ・ピッツィ氏は、ボスコ・ヴェルティカーレが竣工して間もなかった頃からに入居している。彼女は、「何もかもが瞬く間に過ぎゆく、慌ただしいミラノの中心に暮らしている感じがしない」と語る。
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翻訳=神原里枝 編集=石井節子

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