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人事に必要な能力、求められるスキル
5つの業務内容を踏まえた上で、人事にはどのような能力やスキルが必要であるのかを見ていこう。
情報収集力
ヒトに関する情報と、社会の動きに関する情報のどちらもにアンテナを張っておく必要がある。
ヒトに関しては、一方的に「こうあるべき」と決め付けて戦略を策定したのでは、現場からの信頼が得られない。社員がどんな要望を持っているのかや何に困っているのか、あるいは愚痴なども含めて現場の声を拾い上げ、評価や福利厚生などの人事制度への反映を検討すべきである。
また、社外での情報収集力も必要だ。人事同士のコミュニティに参加したり、他社のケーススタディに学んだり、法律の改正や社会の動きに目を向けたりと、常に情報をアップデートして、施策や制度として社内に還元することを求められる。
コミュニケーション能力(聞く・伝える)
社内外の多くの人と関わるポジションであるため、相手の声に耳を傾け、自分の意見を伝える能力は必須だ。
社内では、経営層・マネジメント層・メンバー層などあらゆる社員と連携を取らなければならない。人と向き合い、真摯に耳を傾けつつ、自分の意見や会社の方針を伝えなければならない。
採用活動においては「企業の顔」となるため、採用候補者に慕われる人柄であることや、こまめな連絡を怠らないことなども求められる。その他、採用・研修系サービス提供会社の担当者や、社会保険労務士や産業医などの専門家とともに仕事を進める機会も多いため、さまざまな立場の人とスムーズに話し合いを進められることが重要だ。
戦略構築力
人事は、「人材によって組織を活性化させ、企業を成長させる」という人事部の目的のもと、課題を抽出し、目標達成のためにその課題をどのようにして解決するかを考え、動く役割である。
採用・育成・制度整備など複数の手段があるからこそ、現状を客観的に分析して、最適な課題解決や目標達成の方法を選び、優先順位を付けて施策を実行できることが望ましい。
マルチタスク処理能力
ご覧の通り、人事が手掛ける業務範囲は広い。大企業の人事部は業務内容によって担当が分かれていることも多いが、中小企業では多岐にわたる人事業務を数人もしくは一人で担当することが一般的である。
定型業務と突発的な業務の両方に柔軟に対応できて、タスクごとに頭の使い方を柔軟に切り替えて対応できることが望ましい。
高いコンプライアンス意識
企業は、法律や条例はもちろん、社会的規範や社内規定、就業規則などのあらゆるルールを守る義務を負っている。
インターネットで一人ひとりが声をあげやすくなったことで、コンプライアンス違反が明るみになる例も増えている現在、企業の社会的信用を守るためにもコンプライアンス遵守は大切だ。
コンプライアンスについてきちんと理解しており、コンプライアンス違反が起きない環境づくりへの高い意識を持っていることが求められる。