経営視点での戦略思考
優秀な社員の入社によって売上が大きく上がったり、管理職のマネジメントスキル向上によって組織が円滑に回るようになったりするシーンがある。このように、人事は業務に取り組む中で、人事戦略と戦略に基づいた施策が会社の成長を大きく左右することを実感する場面に多く出会うだろう。
トライアンドエラーを重ねる中で、人事戦略を考えるために企業の事業戦略や経営目標を深く理解することは欠かせないと思うようになり、経営視点が磨かれていく。
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進捗管理能力
マルチタスクに取り組む中で、タスクに優先順位を付けることやタスクを行うための段取りがスムーズにできるようになり、進捗管理能力が磨かれる。
タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールも必要に応じて利用しながら、スケジュール通りにタスクを進められる力と、自分だけでなく同僚や部下の進捗管理も担える力が身に付くだろう。
ブランディング能力
自社の魅力を高めて、採用候補者からの意向を上げる「採用ブランディング」という言葉がよく聞かれる。魅力の構成要素はさまざまあるが、働きやすい環境づくりや成果が正当に評価される仕組みづくり、福利厚生など、人事が主導して高められるものも多くある。
魅力が高まれば、採用候補者に志望してもらえることはもちろん、現在働いている社員も「退職せず働き続けたい」と思うようになる。つまり、社内外でファンを作ることも人事の役割なのだ。
求められていることを汲み取って、自社をブランディングしていく能力も、人事業務を通じて身に付けられる。
人事のキャリアプラン例
人事業務を通じて、どこでも通用する汎用的なスキルを高められるように思える。
では、人事はキャリアを積み、スキルを磨くことでどのようなキャリアプランの選択肢を持てるのだろうか。考えられる幾つかの例を挙げる。
企業で人事として上り詰める
人事部のいちメンバーからリーダー層へ、そして人事部の責任者へと、人事部内で昇進を重ねていくキャリアである。
メンバー時代は施策実行を担う立場だったのが、リーダー層になって研修や制度設計に携われるようになり、部門責任者になると人事戦略を策定する立場になるなど、役職が上がるのに応じて業務範囲も広がる。
もちろん、部下の育成やマネジメントも管理職の重要な任務であるため、後進の育成にやりがいを感じる人にも最適だ。
人事部長などがこのキャリアにあたるが、最近ではスタートアップ企業を中心に「CHRO(最高人事責任者)」と呼ばれるポジションも重用されている。CHROは、人事権を持った経営幹部だ。
従来の人事部長は、経営陣が決定した戦略に則って人事企画や施策の実行を主導する役割だった。一方CHROは、経営戦略について人事的な視点から経営陣に意見を伝える役割を担う。