内定条件の交渉で、オファーが取り消される可能性は?

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私が最近開催した交渉に関するワークショップでは、あまりに強く交渉すると内定が取り消される危険性があるのではと心配していた参加者がいた。

彼は、要求が高過ぎることで雇用主がいら立ちを感じ始めるタイミングを見定めるための確かな方法を知りたがっていた。他の参加者らも彼と同じことを懸念し、内定条件に異議を唱えると内定がなくなってしまうのではないかと考えていた。

与えられたものをただ受け入れることが最善に思われるもしれない。これは短期的には都合が良いことかもしれないが、自分が不当に低い給料で働かされていると心から感じていた場合、長期的には怒りを感じることになる可能性がある。

あるいは、問題は金ではなく時間かもしれない。雇用主から決断を迫られているが、あなたの方では他の企業で最終面接を待っていてもう少し時間が必要な場合がそうだ。その企業に従って他社の面接プロセスをキャンセルし、プレッシャーを受けていた会社に入社することはできるが、仕事に全力で取り組むことができなくなり、異なる種類の怒りが引き起こされるかもしれない。

交渉するよりもしないことでより多くのものが失われる

現時点では交渉に居心地の悪さを感じるかもしれないが、自分が強い思い入れを持つことについて主張をはっきり述べれば長期的には気分が良くなり、キャリアにも長い視点でメリットがあるはずだ。将来の給料や賞与、その他の現金の報酬は現在の基本給を基に計算されていることが多い。現在交渉する(あるいはしない)ものは、時間がたつごとに顕著になることを認識すること。

将来の役職や責任、上司が考えるあなたの価値もスタート地点に影響される。交渉する対象は金銭面だけではない。現時点で適切な階級や役割、関係性について交渉することが将来に予期せぬ結果をもたらす。

相手も心配しているのは同じ

大きな企業を相手にしている自分は弱い立場にあると感じるかもしれない。しかし、内定交渉の反対側にいるのも人間(あなたの将来の上司となるかもしれない人)で、その人も不安を感じている。相手は、今助けが必要だから採用しているのだ。また、採用されたのはあなたであり、他の誰かでは必ずしもなく、あなたが求められているのだ。

相手側にも心配の気持ちがあることを覚えておくことで、より共感を感じ、衝突を減らすことができるかもしれない。もし相手側が腹を立てているように見える場合は、相手には採用のプレッシャーがあることを覚えておこう。いら立ちはあなたのことではなく、採用する必要性からくるものである可能性が高い。
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翻訳・編集=出田静

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