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AIとデータベースを介して香りと言葉を相互に変換する「KAORIUM」

日本国内における「香りの市場」は確実に成長を続けており、2018年までで約3500億円にまで拡大している。視覚や聴覚に比べると、嗅覚はこれまで未知の感覚として扱われてきたが、近年は香りが脳に及ぼす影響が解明されるなど、研究の進展も期待される領域のひとつだ。

私たちの身の回りにも、香りを「売り」にした商品が溢れている。その代表である香水やアロマオイルなどはもちろんのこと、化粧、入浴、洗濯などに使うほとんどすべての商品に香料が含まれている。香料の入っていない製品には、あえて「無香料」という表示がされているくらい、多くの製品に香料が使われているのだ。

多くの人は、これらの商品を購入する際に、自分の好みで選んでいるはずだが、それがどんな香りなのかを言葉で説明しようとすると、うまく表現できないことも多い。

商品に 「フローラル」や「シトラス」などの表示があったとしても、それがどんな香りなのかを的確には思い描けず、選ぶのに困ったという経験をしたことがある人も少なくないだろう。

また、香料メーカーが使用している言葉は、一般消費者にはあまり馴染みがない場合が多い。例えば、「パウダリー」、「オリエンタル」といった香りに関する用語は、専門家が香りを開発する際に用いる言葉であって、消費者が実際に感じる言葉とは異なるからだ。

 香りの「定量化」ではなく「言語化」


「KAORIUM」は、香りのデジタライゼーションをめざすセントマティックが開発した、世の中に存在する様々な香りを「言葉」に変換すると同時に、そこから再び香りを選び出すことができるシステムだ。

AIとデータベースを介して、香りと言葉を相互に変換する「KAORIUM」を用いることで、見えない香りを言葉で可視化したり、言葉を起点に好みの香りを探索したりできるのだ。



例えば、ある香りのボトルを「KAORIUM」のパネルに置くと、その香りを感性的に表現した言葉(「静かな」「しみわたる」など)の相関図がパネル上に出現する。 さらに、その相関図から言葉を1つ選ぶと、その言葉の印象を持つ香りのリストが示される。

このように「KAORIUM」が提供するのは、香りの「定量化」ではなく「言語化」だ。あえて言語という曖昧さを含む表現にこだわる理由について、セントマティック代表の栗栖俊治は次のように語る。



「香りというのは、人それぞれで感じ方が違います。そもそも嗅覚受容体のレベルで個体差がありますし、また辿ってきた人生経験にも影響を受けるからです。そのため、数字を用いて定量化し、香りに一義的な規定を与えようとしても、消費者の体験という観点からすれば、どうしてもそぐわない部分が出てきてしまいます。

だから本当に必要なのは、香りに対する消費者の感じ方を、日常で使う言葉を用いてサポートするサービスだと考えました」

文=渡邊雄介

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