利用可能な国は今のところ米国だけで、対象商品はTシャツのみ。ただアマゾンのことだから、商品のラインアップも対象地域もすぐに拡大されるだろう。
アマゾンは3年余り前、マンハッタンを拠点とする2013年創業の機械学習企業ボディー・ラブス(Body Labs)を推定価格5000万〜7000万ドル(約52億〜72億円)で買収した。同社は体型の分析を専門とし、動画や写真からカスタムアバターを作成し、服のサイズを計算する技術を開発していた。
現在、同社のウェブサイトはなくなり、あるのは自分の体の正確なモデルを作ってネットでの服購入に使えるツール「シェイプX」のみだ。しかし、アマゾンの新サービスの裏にあるのは同社の技術であることはほぼ間違いない。そしてこれは、ファッション業界にとっては危険信号かもしれない。
決まったサイズに基づいた服の購入が最高の体験ではないことは明らかだ。仮にブランド間でサイズの企画がすべて統一されていたとしても、1つのサイズが示すのはある特定の体型であり、自分に必ずしも合うとは限らない。ブランドの店舗などで服を部分的に調整できる場合もあるが、大きな変更は不可能だ。
ファッション界では、特注仕立てと既製品のどちらを選ぶかが悩ましい問題となっており、その中間点として、衣類の各部分を複数のサイズや種類から選ぶことができるモジュラーファッションがある。採寸は複雑なプロセスだ。注文仕立ての服には通常2、3回の採寸や専門スキルが必要とされ、価格も高い。
そこで、2枚ほどの写真を送るか数秒カメラの前で簡単な動きをするだけでオーダーメードのTシャツを25ドルで作れるようになったら、どうなるだろう?