年末年始は「スタンフォード式」運動で、疲れた脳にご褒美

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関東学生陸上競技連盟が東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の開催を発表したことから、2021年も1月2、3日に熱い視線が集まることとなりそうだ。

先に開催された全日本大学駅伝では、東海大・名取燎太(4年)に競り勝った、駒澤大学のアンカー田澤廉がトップでテープを切り優勝。4つ誕生した区間新のうち3区間で1年生が叩き出したことから、今回の箱根駅伝では1年生の活躍にも目が離せなくなりそうだ。

しかし、今回は観るスポーツではなく、するスポーツを考えてみたい。参考にしたのは、書籍『スタンフォード式人生を変える運動の科学』(ケリー・マクゴニガル著、神崎朗子訳、大和書房刊)。同書では、運動のメリットについて多くのヒントを与えてくれる。


われわれ全員が持つ「体を動かすことで幸せを感じる」DNA


「人間の脳の最大の目的は、体を動かすことであり、動くことこそ、我々が世のなかとかかわるための唯一の手段だ」とは、神経科学者のダニエル・ウォルパートの言葉。私たちには、「体を動かすことで幸せを感じる」というDNAが埋め込まれているという。

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同書で紹介された研究で、タンザニアにいる数少ない狩猟採集民族「ハヅァ族」に関するものがある。DNA鑑定から彼らは人類最古の種族の一つとされている。総勢300名と少数で、他の民族のように時代に合わせて進化しているものの、いまも原始人と同じような手段で生活している。

男性は手製の弓と毒矢をもって早朝から狩りに出て、女性は実を摘んだりタロイモを掘ったりして、約9kmの道のりを歩く。午後も同様に過ごすなど、1日の大半を狩猟と採集に費やす。人類学者でデューク大学教授のハーマン・ポンツァーが彼らの運動習慣を研究するために現地を訪れた(2010年)。

タンザニア「ハヅァ族」が心拍数モニターでテスト


ハヅァ族の男性19名と女性27名に活動量計と心拍数モニターを装着してもらい、1日の動きを記録。人間の体と脳がどのような運動に本来適しているかを研究するためだ。

ハヅァ族の動きを観察すると、ランニングなどの中強度から高強度の運動を2時間、さらにウォーキングなどの低強度の運動を数時間行うことが、典型的な1日の過ごし方としてわかった。その活動レベルに年齢や性別の差はなく、むしろ、年齢と共に活動量が増えたという傾向がある。
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文=上沼 祐樹 編集=石井節子

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