国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

12月7日に、2020-2021年の日本の最優秀車賞「第41回日本カー・オブ・ザ・イヤー」のイヤーカーが決まった。ホンダ・フィットとトヨタ・ヤリスという強力なライバルをおさえて、見事に大賞を獲得したのは、今年の秋に登場した新型スバル・レヴォーグだった。開票と発表が行われる前からこの3台の接戦になるだろうと思われていたが、結果的にレヴォーグが437票を取り、圧勝となった。

本年度は新型コロナウイルスの影響で、一時はイヤーカーの選出自体が危ぶまれていたが、イベントの開催方法、場所、概要などを見直すことにより、なんとか実施へと至った。

今年はカーメーカーにとって、特に大変な年だった。コロナ禍が始まって数カ月も経たないうちに、各社の生産工場が一時的にストップしたり、部品の調達が困難になったりしていた。また今年、創業100周年を迎えたマツダは多くの祝いイベントを用意していたが、全て断念された。

しかし、そうした大きなハードルを超えて、各メーカーは新車の試乗会を積極的に設け、60人の選考委員が試乗。今年の33台のノミネート車をテスト・評価した選考委員たちは、11月初頭に第一次投票を行なって「ベスト10」を選び、11月25日の最終選考回で、その最も優れた10台に乗って最終確認し、再び投票した。

「手放し運転」もできるレヴォーグが快挙




選考委員のひとりである僕は、イチ推しのレヴォーグに一番高い10点を入れた。その全てが新しくて、とても上手くまとまっていることを高く評価したからだ。同車は、SGPプラットフォーム、ボディ、サスペンション、ブレーキ、室内の質感を見直し、燃費とパワーを両立した新開発の1.8リッターのターボエンジンを搭載したことにより、上質な乗り心地や欧州のプレミアムカーに匹敵する操縦性と安定性を実現している。

しかし、今回一番関心したのは、新しい運転支援システム「アイサイトX」だった。新しくなったステレオカメラ、ミリ波レーダー、3D高精度地図データと、GPSや準天頂衛星「みちびき」などの情報を活用したことで、スバル初の「自動運転」ができるようになった。レヴォーグは高速道路での渋滞時、50m/hまでは「手放し運転」ができるようになっている。少し慣れが必要だけど、渋滞の条件が合えば、ちゃんとハンズオフを実現している。



ところで、僕が欧米に向かって「レヴォーグが日本COTY(car of the year)を獲得したよ!」とアピールして宣伝したいと思っても、同車は海外ではあまり知られていない。それがとても残念だ。

現在、新型レヴォーグは国内専用になっているのだ。北米では全く知られてないし、2015年に欧州に導入された初代レヴォーグは、ホットで爆発的な加速感を誇る2.0Lのターボ仕様車ではなく、緩くてベーシックの2.0LのNA仕様だけだった。

この状況が欧州のクルマ好きの間でひんしゅくを買うのは当然だ。例えば英国の有力誌「ワットカー」は下記のように書いている。「日本で販売されているレヴォーグは、世界選手権ラリーで走りを培ったWRXと同様の、ターボエンジンと4WDを搭載しているのに、英国に上陸したレヴォーグは、ノンターボ車だし、しかもパワーは日本仕様の半分ほどしかない。つまり、英国人があまり好まないCVT搭載で、ノンターボの1グレードしか選択肢がない状況ではアピールに欠けるね」と辛口だ。

文=ピーター ライオン

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