「失敗を恥じることはもうおしまい」パリ育ちモデル・国木田彩良の逆境の越え方

ヨーロッパで生まれ育ったモデル、国木田彩良。彼女が日本社会で感じる思いとは──


起業や転職、結婚、何であれ大きな決断をしたあとは、何かしらの『カオス』に直面するかもしれない。例えば、手塩をかけて育てた事業であっても、外部要因で倒産の危機に陥るかもしれないし、自分自身が大病にかかるかもしれない。結婚しても、愛し合った2人のすれ違いが重なり、離婚だってありえる。

彼女自身、カトリックスクールやそのあとに通った寄宿学校、日本でのモデル活動、人生で多くのネガティブな出来事に直面してきた。

「過去にどれだけ胸が痛む出来事があったとはいえ、私はそれを乗り越えた自分がいることに誇りを思います。その先に、ようやく『私自身』が見えてきました」

失敗と向き合い乗り越える力がないと、成功を手にすることができない。失敗する準備ができていない人は成功する準備ができていないことを、彼女は逆境の中で学んだのだ。

「モデル・国木田彩良」は存在しない


彼女のSNSを見ると、カリスマ性のある写真で溢れ、華やかで国際的なモデル生活を覗いているようだ。国木田はSNSの使い方や発信において、どんなことを意識しているのだろうか。

「モデルはファンタジーを生む仕事です。SNSはある意味かなり大事なんですよね」

モデルは写真の中で人格を作り上げ、服を綺麗に見せることが仕事だという。現在26歳。自分ならではの「女性らしさ」を生かして表現することをプロとして心がけている。だが、彼女は率直な思いを吐露した。

「みなさんに知ってほしいのは『モデル・国木田彩良はリアルには存在しない』ということです。私に限ったことではありません、モデルや芸能人、表現者の方々、みなさんが当てはまります。雑誌の中で綺麗に着飾る私と、私生活のリアルな私は異なります」

国木田は数年前から東京とベルリンを拠点に生活している。

「ドイツの若い世代の人たちはSNSがどういうものか、ある程度理解して利用している印象があります。はじめは私も、SNSがどのように機能しているかわからなかったのですが、広告のプラットフォームとしての仕組みを知り始めてSNSの使い方と向き合い方が変わりました」

国木田は、ある意味、戦略的にSNSを活用し、モデルとしての「自分」を表現するツールとして使っているのだろう。

疑問を持つことは考え方、習慣、生活を改めてくれる。SNSを巡って多くの問題が発生し懸念されている中、根本的な部分からまずは理解した上で利用するべきだと、彼女は訴える。

異色のバックグラウンドを持つ国木田。彼女の最大の魅力は、「自分で考え、乗り越える力」と言えるだろう。世の中の出来事について感じる違和感に対して自分の意見を持ち、失敗を恐れずに挑戦し続けてきた。誰かが求める「綺麗なモデル」として生きるのではなく、なりたい自分に向かって、日々考えを深めて失敗し傷つきながらも、国木田彩良としてこれからも突き進んでいく。

国木田彩良
後編では、パラレルキャリアを築く国木田彩良の新たな挑戦についてインタビューをお届けする

文=Ryoseon Bae(Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト) 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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