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2020.11.14 11:30

「失敗を恥じることはもうおしまい」パリ育ちモデル・国木田彩良の逆境の越え方


意外な過去に驚いていると、国木田はこう言った。

「ここで私が伝えたいことは、誰しもパーフェクトではないということ。みんなそれぞれが悩みを抱えていますし、闘っています。過去にどれだけ胸が痛む出来事があったとはいえ、私はそれを乗り越えた自分がいることを誇りに思っています」

歳を重ねて、世界各地を訪れるようになり、自分自身はどこの国に行っても「ゲスト扱い」だという答えにたどり着いた。

念願の来日。直面した「コンサバ社会」での葛藤


転機となったのは、母の勧めもあって、高校卒業後、18歳でパリのファッションスクールに2年間通ったことだった。モデルの仕事よりも、ファッションビジネスの裏側、経営に興味がある学生だった。

そんな国木田は、2015年、20歳にして念願だった来日を果たす。

「どこでもゲスト扱いされ、どこにもフィットしない私ですが、日本は初めて『居場所』のような国だと感じました。どうしても日本に住みたいと思い、まずはモデルとして日本で挑戦することを決めました」

モデルという『手段』で、自分が探し求めてきた居場所に駆け込んだのだった。手段とはいえ、ファッションを歴史も含めて専門的に学んでいたのもあり、モデルの仕事は彼女の関心領域にも近かった。十数年間、訪れる国々でよそ者扱いをされ続けた彼女にとって、来日は大きな決断だった。しかし、日本でも彼女を苦しめる出来事がしばしばあった。

とある日本企業の広告で、日本を代表するモデルとして起用された際に、世間から冷たい世間の反応もあった。「彼女は日本人じゃないじゃないか」という言葉が、日本とイタリアのハーフであり、海外育ちの国木田に向かって投げられたのだ。

「正直、コンサバな考えだな、と思いました。強い文化や歴史を持つ国にとって、コンサバは大切なことでもあると考えていますが、当時その反応を受けてもっと日本がグローバルに、何事にもオープンになればいいなと、切実に思いましたね」

モデルとして働くことで、国木田は日本社会での振る舞い方やカルチャーを学び、吸収していった。ショックな出来事に対してただ悩むのではなく、自分の中で咀嚼して、理解する努力をしたのだ。

国木田彩良

失敗できない人は成功できない


国木田は、日本のことを知るにつれ、仕事でもプライベートでも、一発で成功を決めないといけない『ワンショットカルチャー』だと気づいた。日本社会で暮らす人は責任感が強く、失敗を恥じる傾向があると懸念している。

「人生はそんなうまくいかないものなのに、日本ではみんないつも100点満点であろうとします。大事なのは、これらのリスクを回避することではなく、『逆境を乗り越える力』です。失敗を生まないことが重要ではありません」
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文=Ryoseon Bae(Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト) 写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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