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植野有砂

自らの力で道を切り拓く女性たち「セルフメイドウーマン」を紹介する連載。Forbes JAPAN9月号(7月25日発売)でも特集するこの企画で、DJ、モデル、インフルエンサーなど、複数の肩書きを持つ植野有砂に話を聞いた。


植野有砂という名前を聞いて、「ああ、あの子ね」と言う人がいたとしても、それはおそらく彼女の一部しか見ていないかもしれない。

特定の若い女性層から絶大な支持を得て、一部のメディアからは「ネオギャル」と呼ばれている。海外のビーチリゾートやパーティの写真で埋め尽くされているインスタグラムには、35万のフォロワーがいる。

しかしそれは、たくさんある顔のひとつだ。

2018年、世界中に流れたiPhoneXのCMソングは植野がダンス・デュオ「ソフィ・タッカー」に参加した「ベスト フレンド」だった。この曲は米ビルボード誌のヒットチャート「HOT100」にランクインするという快挙を成し遂げた。

スタートは高校時代の読者モデルだった。ファッション誌「ポップティーン」などで活躍。それが現在ではミュージシャンで、ファッションブランド「フィグ&ヴァイパー」クリエイティブディレクターでもあり、モデルとしての顔もある。

活躍の場をひとつに限定せずに、植野はどうキャリアを積み重ねることができたのだろうか?

「経済誌のイメージに合わせた」と、ZARAの黄色いスーツを着てやって来た29歳の植野はこんな話をする。

「20歳のときに決めた自分への約束は、果たすことができたと思います」

その約束を果たす鍵が、「保険をかけること」と真顔で語るのだ。

植野は海外のミュージシャンと親交が深いことでも知られる。留学をすることなく、堪能な語学力を身につけることができたのは、中学時代から続けてきた猛勉強の結果だ。

「英語ができれば、一番興味のあったファッションの道で行き詰まっても別の行き先が見つかるはず」という確信があった。

これも保険をかける意味のようだ。高校時代はモデル活動を続けながら、受験勉強と同時に英語専門の予備校へも通った。

「中学生の頃からディスティニーズ・チャイルドやジャネット・ジャクソンが大好きで。英語漬けの生活は全く苦ではありませんでした。例文を丸暗記して20回も音読すれば、構文を自分のものにできる。単語帳を一冊丸暗記すれば、長文を読んだときに理解のできない部分はぐんと減ります」

モデルとして活動した後、彼女は就職の道を選んだ。フィグ&ヴァイパーの正社員として、平日は朝の9時から夕方6時まで会社で洋服のデザインや販売戦略を練った。22歳から27歳の頃だ。

正社員という「保険」があったからこそ、熱中できることに集中できたという。それが、DJだった。

3日で4都市のクラブを転々としたり、多い時で1カ月に20本のイベントに出演したり、睡眠時間が3~4時間という日もざらだった。そうして20代を駆け抜けた。振り返って「今、自分がどこにいるのかわかってない瞬間もあった」と笑う。

写真=ヤン・ブース 文=守屋美佳

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