私のコンサルティング企業リーダーシップIQの新たな報告書「The State Of Leadership Development In 2020(2020年のリーダーシップ育成状況)」では、2万1008人の従業員を対象に調査を実施し、リーダーの能力を評価した。
この調査で分かったことの一つは、自分のリーダーは会社が直面している課題について常に包み隠さず共有していると答えた従業員がわずか20%だったことだ。さらに、会社が直面している問題について自分のリーダーが率直に共有することは絶対あるいはほとんどないと答えた従業員は21%に上った。
現在、課題に全く直面していない会社など本当にあるのだろうか? どんなに素晴らしい会社も、課題や競争、業界の変動などを経験する。こうした課題を包み隠さず共有する意思を持つことは非常に重要だ。リーダーが、企業の前に立ちはだかる課題について率直に共有すればするほど、従業員は仕事で最善を尽くすよう鼓舞されることが先述の調査から統計的に分かっているためだ。
従業員は、自分たちの課題について議論することをいとわないリーダーを求めている。また人々は、提案や新たなアイデアの採用に前向きなリーダーも求めている。先述の調査では、自分の上司はパフォーマンス改善のため社外のアイデアややり方を採用することに常に前向きだと答えた従業員は、わずか29%だった。
また重回帰分析からは、リーダーが社外のアイデアの活用に積極的であればあるほど、従業員は仕事で全力を尽くすよう鼓舞されることが分かった。
リーダーが、自分は全ての答えを知っているわけではないと認めることは、従業員から信頼と同意を得る上で重要だ。しかし、課題や外部のアイデアを認めることが自分のリーダーとしての失敗を意味するという間違った考えにつながる先入観を克服するには、どうすればよいのだろうか?
ステップ1 弱さを見せるプロセスを自分から始める
課題を認めたり新たなアイデアを求めたりする積極的なステップを踏むたびに、私たちはより強く、物事を制御できているように見える。しかし、上司や投資家から行動を取るよう強制されるまで待っていれば、まるで野菜を無理やり食べさせられている子どものように見えてしまう。
リーダーが、従業員からより良いアイデアを求めるように命じる覚書を理事会から受け取るまで待ったとしたら、「私は本当に、自分でもそれを実践するつもりでした、本当にそうしようと考えていたのです」と言うことはほぼ不可能だ。