経済・社会

2020.11.13 10:00

著作権法改正。あなたの「ネット配信」にはどう影響する?

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この改正の背景には、もちろん近年のスマホやタブレット端末などの急速な普及や動画の投稿、配信プラットフォームの発達などの社会の変化があり、人々の日常生活のなかでごく一般的に遭遇するシーンに対処したものとされている。
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「これまでの著作権法での写り込みに関する規定は、かなり厳格で解釈が難しいものでした。しかも著作物を創作する場合に限られてもいました。例えば、スクリーンショットなど誰が撮っても同じになるものなどは創作ではないので、これまでの規定では対象にならないのではないかと言われていたのです。

著作権法というのは、創作した人に著作物の複製などをコントロールする権利を与えることで、著作権者を保護する側面もあるのですが、一方で著作物の『利用』も促進しなければいけない。その利用方法、こういう場合は利用できる、こういう場合は利用できないということを、あらためて明確にしたのが、今回の写り込みに関する改正です」

知的財産権が専門で、アートやエンターテインメントの分野を中心に訴訟や法律相談にあたっている木村剛大弁護士(小林・弓削田法律事務所)はこう語るが、それほど一般の人間が今回の著作権法改正の写り込みの規定で、これまでの振る舞いを変えることもないのではないかという。ただネットでの発信やスクリーンショットをする際には「知っておいたほうがよいことではある」とも木村弁護士は言明している。
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改正の背景には「海賊版による被害」が


10月1日から施行された著作権法改正では、写り込みと並んで、「インターネット上の海賊版対策の強化」として、「リーチサイト対策」が盛り込まれた。

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リーチサイト(あるいはリーチアプリ)というのは、著作物(コンテンツ)が違法にアップロードされている海賊版のサイトへ、それらのリンク情報などを集約してユーザーを誘導するものだが、しばらく前に問題となった「はるか夢の趾」や「漫画村」などが代表的なものだ。

今回の著作権改正だが、このリーチサイトを運営する行為やリーチアプリを提供する行為が民事責任とともに刑事罰の対象となった。また、これらのリーチサイトやリーチアプリを用いてリンクを提供する者に対しても、民事上、刑事上の責任を問えるようになった。もとより、今回の著作権改正の背景には、ネット上の海賊版による多大なる被害があり、これをさらに厳しく規制するために施行されたものだ。

とはいえ、この規制は、リーチサイトの運営者やリーチアプリの提供者、これらを用いてリンクを提供する者に対するもので、SNSやブログでたまたま違法なコンテンツへのリンクを提供してしまった場合まで規制されるものではない。そのため、一般のユーザーにはそれほど影響のあるものではない。
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文=稲垣 伸寿

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