それをリアルタイムで見ていた友人のC子さんは、すぐにA美さんにメールして、「後ろにB氏の作品が写っているけどだいじょうぶかな、著作権侵害にならないかな」と伝えました。さて、このケース、C子さんの心配が、現実のものとなることはないのでしょうか。
「写り込み」はどこまで許されるか
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2020年10月1日から、今年6月の通常国会で成立した著作権法改正の一部が施行された。この著作権法改正、正式な名称は「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」という長々しいものであるが、その中に、「著作物の円滑な利用を図るための措置」として、「写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大」という事項が設けられた。
まずは、何が変わったかを知るために、これまでがどうだったかを振り返ってみよう。
「写り込み」に関しては、2012年の著作権法改正で初めて規定されることになった。それによれば、写り込みで著作権の侵害とならないのは、「写真の撮影、録音又は録画」する場合で、しかも「著作物を創作するに当たって」という条件も付けられていた。
この2012年改正の著作権法の規定を当てはめれば、いわゆるA美さんの行為は、「写真の撮影、録音又は録画」ではなく「ライブ配信」であるので、法律の「規定外」のものということになる。
では、A美さんの行為は、C子さんが懸念するような著作権侵害になるのか? その心配はない。今回の改正によって、写り込みがオーケーの対象となる行為が、複製や複製を伴わない伝達行為全般となり、ネットでのライブ配信や生放送などにも拡大されたからだ。
また、「著作物を創作する」場合に限られなくなったため、スマホでのスクリーンショットでの複製にも適用されることになり、それらも含めて法律で認められることになったのだ。