ビジネス

2022.01.16 10:00

元ファーストクラスCAが証言。ハイクラスの乗客は「お土産も本気で選ぶ」


出張中や旅行中も自分のことだけでなく家族や職場の仲間のことも考えていらっしゃるのだなということが伝わってきます。

「森伊蔵」も、人のために


また、機内販売でも、ご自身のものはあまり買われず、お土産や誰かへのプレゼント、頼まれ物を買っていかれる方が多い印象です。

長年ファーストクラスを担当していたCAは、「機内販売で登場すると、いつも争奪戦になる、伝説の鹿児島産芋焼酎『森伊蔵』。しかし、ファーストクラスのお客様は自分用にではなく人からの頼まれ物として買っていかれる方が多かったです」と振り返ります。

年齢関係なくトレンドに敏感


お土産に限らず、常にアンテナを張り、情報収集されているのも特徴的です。

機内ではいつも読まない種類の雑誌を読みたいと、CAにおすすめの雑誌を聞いてそれを読まれたり、ステイ先でおすすめのお店や最近のトレンドについて質問を受けることも少なくありません。とある会社の社長さんは、それをビジネスの参考にされていると話されていました。

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Getty Images

また、企業上層部のお客様からは、機内でお出ししたお菓子で気に入ったものがあると「これはどこのお店の?」と聞かれることが多い、と話しているCAもいました。その理由も、「接待の手土産の参考にしたいから」だったそうです。

最新の電子機器やサービスもいち早く導入されていたり、「もうおじさんだから」と言い訳するのではなく、若い人が今、何に興味があるのかに敏感で、それを自ら積極的に取り入れてみる方が多い印象です。

その根底には、やはり「人に喜んでもらいたい」という思いがあるように感じます。

「おもてなし好き」が、結局は情報や人を引き寄せる


海外在住のお客様のなかには、その便に乗務していたパイロットやCAを現地でもてなしてくださる方もいらっしゃいます。「せっかくのご縁だから一緒に楽しみましょう」と気さくに誘ってくださり、皆が楽しめるようにお店選びやメニュー選びに配慮してくださる姿からは、CAも脱帽するホスピタリティの高さを感じます。

そして乗務員たちに対してだけでなく、店員さんに対する態度もスマート。「彼らは◯◯航空の乗務員の皆さんなんです。舌が肥えている皆さんをお連れするならこのお店しかないと思ったんだよ!」と店員さんに伝えるなど、お店に対する配慮も忘れません。

会話の中で、「それだったら詳しい人がいるから紹介するよ」など、自分の利益は関係なく積極的に人を紹介するフィクサーのような方も多いです。

お土産やプレゼント、おもてなしによって相手によく思われたい、という下心ではなく、自分に関わるすべての人に喜んでもらいたいというサービス精神が、情報や人を引き寄せ、結果的にその人自身の財産になっていっているのではないでしょうか。

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清水裕美子◎日本航空(JAL)の客室乗務員として国際線ビジネスクラス、ファーストクラスなどを含め約5年乗務する。退職後はCA流美容コンサルタントとしてセミナー、メディアなどで活動するほか、日本初のCAが発信する総合情報サイト「CA Media」を立ち上げる。All Aboutビューティー担当ガイド。最新の著書は、『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社、2020年7月刊)。

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文=清水裕美子 編集=石井節子 サムネイルデザイン=高田尚弥

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