父親が育児休業を取得できる国は多くはありませんが、その数は増加しており、国際労働機関(ILO)によると、1994年から2015年までに、40カ国から94カ国にまで増えました。
父親の育児休業事情は進展しつつも、その期間と補償内容は国により大きく異なります。例えば、OECD加盟国の中には、父親に育児休業をまったく認めない国もあります。一方フランスでは、新たに子どもが生まれた父親の育児休業期間が、従来の2倍となる28日に延長されたとガーディアン紙が報じました。
昨夏に採決された措置により、EU加盟国は、家族に対する最低限の権利を規定する法律を行使する手段のひとつとして、2022年までに父親に2週間の有給育児休業を付与しなければなりません。
育休がもたらす効果
育児休暇の効果については幅広く論述されており、無給で子育てをする女性の負担低減、母親への産後職場復帰支援、新たに親となった夫婦の離婚率の低減などがあげられます。
世界的なジェンダーパリティ(ジェンダー公正)の進展を追跡する世界経済フォーラムの年次指標、グローバル・ジェンダー・ギャップレポート 2020で概説されている重要な平等指標に「経済参加」がありますが、育児休暇により、この経済参加も確保されるのです。
性と生殖に関する健康と権利を支援する団体、プロ・ファミリア理事のフィリップ・ネギ氏は、今回の国民投票は、ジェンダーダイナミックスに対する認識の変化を反映しているとして、スイスのニュースサイト「ザ・ローカル」で次のようにコメントしています。
「社会は徐々に進歩しており、女性は家庭にとどまるべきという規範は、現代にはもはや不適切であることを、この国民投票の結果が示しています」
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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