一方、男性の育児休暇取得率が80%という国がある。フィンランドだ。その実態とこれからの課題について、実際に育休取得中の現地の人に話を聞いた。
男性の育休取得率は、80%
ユハナ・トゥーナネンはフィンランド外務省で働く36歳の外交官。法務省で働く妻のヨハナとの間に2人の子どもがいる。2番目の子どもは今年生まれ、現在、5カ月間の育休を取得中だ。
ユハナは1人目が生まれた時は、3週間の育休を取得し、家族全員で過ごした。2人目が生まれた時に妻の重要な仕事が決まり、予定よりも早く産休から復活することを話し合った。母親からバトンタッチするかたちで父親のユハナが5カ月間の育休をとることにした。
フィンランドでは、子どもが生まれる1カ月前から始まり、4カ月間は母親が産休と育休をとれる仕組みになっている。その後も5カ月間の育休は、これは母親がとるか、父親がとるか自由に選べる。また、それとは別に9週間の育休が父親に設けられている。そのうち3週間は、母親が育休取得中に一緒にとることができる。
父親による育休取得期間は3週間が一般的で、80%が取得している。しかし、5カ月間の育休を父親が取得するのは10%程度だという。まだまだユハナのケースは珍しいのだ。
第1子の時に3週間育休を取得した際と現在とで、同僚たちの反応の違いについて聞くと、「1回目は、周囲がたくさん喜んでくれて、褒め称えてくれた。でも、2人目はそこまでの反応はなかった。男性の育休取得が浸透してきた証拠ですね。いいことだと思います」と答えた。
フィンランドでも、業種によってはまだ周囲の理解が追いついていないところもあるようだ。しかし、いつでも子育て相談ができる施設「ネウボラ」の設置、ベビーグッズが一式揃う「ベビーパッケージ」の贈呈、無償の保育園など、政府が子育てする人たちをサポートする仕組みが揃っている。周囲の反応は薄くても、さらに広い範囲で休暇を取って子育てする自分の存在が受け止められているように感じるのだという。
育休について語るユハナ・トゥーナネン