口の窄まった器も相まって、こっくりとした奥行きを感じる「長谷川純米大吟醸三割五分」には、自家製の柚餅子とダブルクリームを混ぜたもの。甘い柚子の皮がアクセントとなり、乳脂肪との意外な相性の良さを発見するマリアージュだった。
自然なカボチャの甘味を生かしたピュレを酢と塩で調味し、山椒がピリリと効いたゆず七味と、本格醸造のみりんをかけて。どこか温度感を感じる優しい甘味に、磨きの違う、ふくよかな「長谷川純米大吟醸五割」を合わせて。
最後は「長谷川特別純米」。親しみやすい味のバランスには、玄米煎餅に長谷川栄雅の日本酒で伸ばした柔らかい酒粕に自家製の生姜パウダーを振りかけて。日本酒の旨味を増幅させる酒粕に、生姜の辛みのインパクトが冴える。
「日本の料理は水の文化。野菜ひとつとっても、日本のものは水分量が多い。自分も海外に行って帰ってくると、出汁が飲みたくなる。出汁の構成は日本酒と同じ、水と旨味。日本料理と同じように、日本酒は日本人の心の味、と言っても良いのではないでしょうか」と小林シェフ。
また、魚卵など、魚介の珍味系とのペアリングもシェフおすすめだ。「実はこういった食材は、鉄分の多いワインと合わせると、魚の脂質に含まれる成分と結合して魚臭さが出てしまうが、日本酒ならその心配はない」と話す。
さて、この長谷川栄雅、私なら、食事の前のアペリティフでお邪魔したい。シンプルでミニマルな外観、茶室のような座敷席も、特別な時間を演出してくれる。
「アテ」はどれも一口サイズなので、食事の前にお腹がいっぱいになることもなく、自然な味わいで後のこりしない。また、上品な味わいの「長谷川」「栄雅」の日本酒は、糖や酸、アルコール度も高すぎないので、食事の前に口の中に影響を与えすぎることもない。
長谷川栄雅では、陶芸家の岩崎龍二氏、保立剛氏による酒器やフラワーアレンジメントも販売し、日本酒を楽しむ、トータルなライフスタイルを提案している。おうち時間の充実や大切な人へのプレゼントに、公式サイトでしか買えない「長谷川」や「栄雅」を買いに立ち寄るのも良いかもしれない。