渋谷の街では渋カジ、コギャルなど、数多くのスタイルが生まれてきた。どんなアイテムを持つかより、それらをどうスタイルに昇華させるかが重視され、独特のミックス感をもった渋谷ならではのカルチャーが発信されてきたのかもしれない。
「ECサイトだけでなく、例えば渋谷の仮装空間を歩きながら買い物ができたり、渋谷に来れない人にも渋谷を味わってもらえるようなコンテンツを考えていきたい」。街を歩きながら渋谷を行き交う人々のファッションを眺める。そんな楽しさをオンラインでも体験でき、最終的には街に人が戻ってきてくれるようなコンテンツを作っていきたいと2人は語る。
リアルの店舗とオンライン上での楽しみ方をどう掛け合わせていくかが、今後の課題となりそうだ。
意外にも業界の売上は伸びている
10月17日、「SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL(シブハラフェス)ファッションショー」が開催された。シブハラフェスは渋谷区を盛り上げるお祭りとして毎年開催されてきたが、ファッションショーの開催は、再整備後の宮下公園で初の試みとなった。1本目のショーのプロデューサーをモデル・タレントのりゅうちぇるが務め、宮下公園に広がるランウェイの様子は映像配信された。
コロナ禍にファッションの持つ力を感じたというワンオーCEOの松井智則
私たちの生活様式は一変し、活動の拠点は街からどこか見えない場所へと場を移しつつある。「不要不急」という曖昧な線引きで必要な物と不要な物が分けられた状況下において、ファッションやカルチャーはどのように変化しつつあるのだろうか。松井はこう語る。
「自分自身もそうだったのですが、衣食住の衣は本当に必要か見直されたと思うんですよ。でも郊外のアウトレットにたくさん人が集まっていたり、経営している小売店ではECで昨対を超えていたりと、やっぱりファッションって必要なんだなとパワーを感じましたね。
自粛期間に映画をたくさん見たりすると、カルチャーみたいなものが自分の中に溜まってくるじゃないですか。そうなると家にいても服が欲しくなってくるし、実際に服を買って気分が上がったとみんな言っていて。そういうことがスタイルやカルチャーにリンクしていくんだなというのはとても感じましたね」
久保田も「Zoomでミーティングばかりの実生活にファッションが必要かと言われれば不必要な物かもしれないが、気持ちをリフトするためのアイテムとしてはやっぱりパワーをもってるのだと思います。気分を上げるためひとつのツールとしてECサイトが機能していけば嬉しいなと思います」と語った。
どんな形になろうと、ファッションを楽しむことで気分が上がるという方程式は、人間の本能的なものなのかもしれない。