「面白くて変な渋谷」を再び。区公認ファッションECサイト仕掛け人の狙い

渋谷区公認ECサイト「SHIBUYA FAMILY SALE」仕掛け人の松井智則(左)と久保田夏彦

渋谷を愛する人々による、渋谷を愛する人々のための新たな取り組みが始まろうとしている──。

渋谷区公認のファッションECサイト「SHIBUYA FAMILY SALE」が10月18日正午よりローンチされる。工夫が凝らされた仕掛けの裏には、ただ服を販売するだけでなくコロナ禍で落ち込んだ渋谷の街を、再び盛り上げたい狙いがある。

発起人の一般社団法人渋谷未来デザインのプロジェクトデザイナー久保田夏彦と、ECサイトの制作を手がけたワンオーCEOの松井智則に話を聞いた。

目標を上回るクラファンの売上。コロナ禍に見えた光


緊急事態宣言下の渋谷スクランブル交差点の光景に目を疑った人も多いだろう。宣言が発令されてから初めての週末の4月11日の渋谷駅周辺の人出は、前年同週比86%減だった。

それまで東京の中心地として1日に300万人が訪れた渋谷の街は、新型コロナの蔓延により一瞬にして「ゴーストタウン」のような様相を呈した。

それから半年あまり、徐々に街の人出は戻りつつあるが、渋谷区の主な観光資源であるエンタメ、飲食、アパレル産業は未だにかなり厳しい状況が続いている。特にアパレル業界に詳しい松井は、「店舗での販売がままならないこと以外にも、来シーズンに向けた展示会も行えないため来年度以降の売り上げが見込めず、コロナ以前の状態に戻るにはかなり険しい道のりとなりそうだ」と指摘する。

ファッションやエンタメといった渋谷のカルチャーを再生すべく、渋谷区や、区の商店会連合会、観光協会、渋谷未来デザインが一丸となって「YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディング」を立ち上げた。運営資金は、そのクラウドファンディングで集められ、当初の目標である4289万円を大きく上回る4477万円が支援された。支援金はECサイト以外にもエンタメ産業への支援としてオンライン配信システムの整備などにも活用される。渋谷区が中心となって開始されたプロジェクトだが、渋谷を愛する全国の思いが集まった結果に違いない。

ECサイトの名前は「SHIBUYA FAMILY SALE」。松井は「かつて渋谷に訪れていた300万人の人々は年齢もさまざまです。幅広い年代の人みんなが楽しめるようにと考えました。『FAMILY SALE』というワードからも楽しげな感じが伝わればいいなと思います」と語る。


ファッションECサイト「SHIBUYA FAMILY SALE」は、その名の通り、家族みんなで楽しめるようなデザインに
次ページ > 渋谷の街歩きの醍醐味をオンラインでも

文=河村優 編集=督あかり 写真=Christian Tartarello

ForbesBrandVoice

人気記事