投資家は、建前論に目を奪われることなく、今後の帰結を見極めねばならない。残念ながら、未来は明るいとは言えない。
インターネットが分裂すれば、ハードウェアのサプライチェーンも2つに分裂してしまう。これは、イノベーションと売上において市場を大きくリードしてきた米国の半導体メーカーにとっては悪夢のような帰結だ。
アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ(Lam Research)、KLAという半導体装置メーカー3社の株価は、それぞれ8月の高値から12.3%、17.1%、12.1%下落した。また、特殊(スペシャリティ)半導体を生産するマイクロンの株価は21.1%マイナスとさらに大きく落ち込んでいる。これらの企業には、中国でかなりの売上をあげているという共通点がある。だが、世界のマイクロプロセッサー市場が二分されるなかで、中国での事業は今や危機的状況になっている。
アナリストはこれまでの2年間、相場が急落するたびに新たな購入を推奨してきた。現在の弱含みの相場においても、同様の推奨が行われる可能性はある。もし、今後近いうちに、半導体製造装置や特殊半導体メーカーの株価が反騰する局面があれば、投資家は、その上昇の機に乗じてポジションの手じまいを実行すべきだろう。現状は、政治家たちの強硬な姿勢により、事態が後戻りできないところまで来ており、良い落とし所が見つかることは望めない。
現時点で、米国の企業が中国の半導体市場を失うリスクは、かつてないほど高まっている。