しかし、2月26日にEXILEの京セラドーム大阪公演を当日に中止して以降、全168公演の中止が決定。会社にとっても、所属アーティストにとっても、そしてライブ制作に携わる莫大な数のスタッフにとっても、大きなダメージがある。この前代未聞の事態に対して、LDHのチーフクリエイティブオフィサーであるHIROは、頭を抱えながらも果敢に立ち向かい続けている。
6月15日、LDHは3つのコンテンツ発信について発表した。1つ目は、サイバーエージェントと設立した合弁会社「CyberLDH」による新たな定額制動画配信サービス「CL」を8月1日にグランドオープンすること。2つ目は、有料配信ライブプロジェクト「LIVE×ONLINE」。そして3つ目は、新型コロナウイルス感染症対策専門家チームと感染防止対策などを慎重に検討した上で「ソーシャルディスタンスライブ」を9月以降に開催すること。
「LDH HIROが考える、オンラインライブの可能性」をテーマに話を聞き始めると、彼が考えている音楽業界や社会の課題、K-POPやアジアに対する目線、そしてコロナ禍での組織作りまでを知ることができた。激動の2020年の中では、「Love, Dream, Happiness」という言葉に対する考えにも変化が生まれている。
オンラインは数年前から挑戦したいテーマだった
──LDHとサイバーエージェントが合併会社を設立し、動画配信サービス「CL」が8月1日よりオープンしました。まず、このプロジェクトの経緯や意図を教えていただけますか。
もともと藤田(晋)さんと仲良くさせてもらっていて、いつか一緒に新しいエンタテインメントを作りたいですね、という話をしていたんです。「LDH TV」と「LDH TERMINAL」という2つの動画コンテンツを自社でやっていたのですが、それらを今の時代に合わせるためにも統合させて、ブラッシュアップして表現したいという想いがありました。
そこでサイバーエージェントさんから「CL」の企画をいただいて、じゃあスタートしましょうと1年くらい前から準備していたんです。
その後コロナになって、僕らの向かっている方向性が間違っていなかったなと確信できました。これからもっと、デジタルやバーチャルの領域にスピード感をもって取り組むべきだなと感じています。
僕らの「LDH360度エンタテインメント」をバーチャルやデジタルの世界に置き換えることは、何年も前からずっと挑戦したい大きなテーマであったので、それがだんだん具体的になってきた感じがしていますね。