実際にビジネスを生み出す番組『今日からやる会議』だ。ビジネスパートナーを募集し、お笑い芸人のさらば青春の光と、カミナリの2組が中心となって、実際に売り出す商品や企画を開発していく。番組冒頭で「お金のないテレビ業界の未来のためにギャラなし、成功報酬でテレビ発の新規ビジネス開拓に挑む」とナレーションが流れるように、2組へのギャランティは、商品の売り上げの成功報酬のみ。
バラエティ番組ながら収録の舞台は、ほとんどがテレ東内の会議室。ビジネスパートナーとなった企業の担当者や商品、コンテンツ企画のプロをゲストに招きつつ、出演者たちが会議をする様子をそのまま映し出す、いわばビジネスドキュメンタリーのような内容だ。毎週土曜の深夜2時10分から放送され、ネットもテレ東、TVer、Paraviほかでオンデマンド配信も行なっている。
番組を制作するのは、テレビ東京コンテンツ事業局。番組のオンデマンド配信や番組関連イベント、グッズ販売を企画するなど、番組を活用したマネタイズを行いながら、自らドラマやバラエティ番組の制作も行うという、コンテンツビジネスの可能性を追求する部署だ。
コロナ禍でオンラインイベントやECサイトの充実など、コンテンツビジネスにさまざまな新しい形態が生まれつつあるなか、「会議の様子をそのまま見せる」というこれまでにない斬新な番組を進行するコンテンツ事業局。同局所属で番組の制作を担当する合田知弘、太田勇、間宮由玲子に話を聞くと、独自のコンテンツを作り続けるテレビ東京の流儀が見えてきた。
ギャラを成功報酬制にした「ある理由」
──『今日からやる会議』を作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
合田:私が所属するコンテンツビジネス部は、主にドラマの動画配信やイベントを企画したり、DVDを売ったりと、番組のマネタイズをメインでやっている部署なんです。でもドラマのマネタイズっていろいろな形をやり尽くしているなと思い、バラエティのテイストでマネタイズができれば、今までにない番組になりそうだと考えたのがきっかけです。バラエティを使ってどういうマネタイズをしたら面白いかと考えた時に、ビジネスプロジェクトを起こしていく番組を考えて始まりました。
コンテンツ事業局コンテンツビジネス部の合田知弘
太田:僕は6年間担当していた『YOUは何しに日本へ?』という番組をヒントにしました。この番組では、海外から日本に来た一般の人たちへの撮影交渉や取材がうまく行かなかった時の様子までそのまま流してるんです。今までテレビのスタッフが「かっこ悪いから流しちゃいけない」と思っていた場面も放送しているところが新しかったんですね。
今回の場合も、ビジネスを生み出す番組をやるにあたって、思い通りにうまくいかないこともたくさんあるじゃないですか。ただそれもありのまま全部放送しちゃえば、意外とそれが興味をもてるものになるんじゃないかなと思ったのです。
また、バラエティでも番組内で商品を作る企画は過去にもあったと思うんですが、そういう企画ってどこか嘘くさいんですよね。どうしてだろうと考えた時に、出演者がギャラをもらってる時点で本気で取り組んでいる感じがしないからだと気づき、成功報酬制にすることにしました。