参加と体験がカギ 視聴者との距離感
──コンテンツを受ける側である視聴者との距離感はどのように変化していると感じますか。
太田:昔は完成したものを提示して「これいいだろう」というやり方でファンを獲得していったと思うんですが、『今日からやる会議』でもそうであるように、ダメなところも含めて裏側も全部見せるからこの番組のことを応援したくなるよね、みたいな距離感になりつつあると思います。視聴者との距離感が近い番組作りを意識して、1人でも番組の味方になってくれる人を増やせればいいなと。
ソーシャルディスタンスを取りながら収録をする様子。収録の舞台となるのはもちろん会議室だ。
合田:まずはありのままを見せながら応援してもらって、見ている方が参加しているかのように感じてくれたらいいなと番組を通してずっと思っていますね。
個人的にはオンラインサロンのように、ファンが参加してくれて主体的にプロジェクトを作っていくようなコンテンツが究極の形なのかなと思っていて、この番組も高めの価格帯のTシャツを買うと、出演者と会えてテレビ東京の社員食堂でランチをしたり、実際に会議に参加できたりなどの要素を入れたりしています。見るだけじゃなく、参加するとやっぱりその商品を応援してくれて、結果ファンになってくれて、番組という元のコンテンツ以外のグッズなどの購買にも繋がるのではないかと思っています。
間宮:私たちは番組内でビジネスを起こしていますが、それにまつわる多分野のプロではないので、視聴者のアイデアや知恵をお借りしたいと思っています。いろいろなプロジェクトを走らせる中で視聴者が意見を発信しやすい環境を整えて、インタラクティブにすることで、企画を練ったり、マネタイズする時の案に繋がるなと感じています。
「制限」を強みに テレ東の企画力の秘密
コンテンツ事業局ドラマプロデュース部の太田勇
──コンテンツビジネスを展開する上での思考法、アイデアの出し方を教えて下さい。
太田:テレ東の番組作りの基本は「1行で番組を説明できるか」なんです。タイトルを聞くだけで想像がつくような。コンテンツを開発する時も、なにかとなにかの足し算というよりは、シンプルだけどなかったような物を考えようとする癖はついているかなと思いますね。
例えば、より予算が多いテレビ局であれば出演する人に何をしてもらうかより、誰に出てもらうか、を重視してるんですよね。でも僕らの場合は基本「一般の方が〇〇をする」であって、一般の方にそこまで演技力や面白さを期待できない可能性が高いんです。だからどうしても「〇〇する」を考える力が鍛えられるんです。
会議を経て企画された「テレ東番組ロゴTシャツ」。羽田空港第1ターミナル内のテレ東本舗にて限定で販売された。