こちらも会議を経て実際にリリースされた「今日からやる会議VR『さらば・カミナリコント&漫才VR』」企画。さらば青春の光と、カミナリのコントをVR化し、配信を行った。
──番組やコンテンツを作る上での1番のこだわりを教えて下さい。
太田:どんなに変わった人や物を取り上げる時も、視聴者との「接地面」を必ず1カ所作ることです。完全に遠い世界の話ではなくて、視聴者が「わかるわかる」と思えて、分かり合えるような場面を作ることを意識しています。
合田:「参加」や「体験」が重要だと思っていて、なんとなく「テレビはあっち側の世界で作られていて、出来上がったものを見せられてるんでしょ」っていうのはもう成り立たない時代かなと思っています。
生活になにか刺激を与えたり、きっかけになるようなものが体験とか参加に繋がる。グルメドラマにしても、レシピを動画にして配信することで劇中に出てきた料理を自分で作れるようになるだとか、視聴者との接点を必ず作るようにしています。逆にそれがないと「向こう側の世界だけでやってるんでしょう」と冷めた感じに繋がっちゃうかなと思っているので、半径3mに感じられる身近さは大事なんじゃないかなと思いますね。
間宮:例えば出演者が決定したり行動したりするときに、見てる側が「私だったらこうするのに」とか、そういう考える隙を与えられるようなコンテンツを意識しています。『今日からやる会議』でも、私たちがどういう思考でそれを決定しているのかなどの過程も見せられると、見てる側にも意見が出てくると思うので、そういう思考を残してあげられるようなコンテンツを作れたらいいなと思ってます。
コンテンツ事業局ドラマプロデュース部の間宮由玲子
ニッチな番組が喜ばれるワケ
──これからのコンテンツ作りに求められることとは?
合田:ファンがつくような、応援したくなようなものを作ることだと思います。あとは、『サ道』というサウナのドラマや、1人でキャンプするドラマ『ひとりキャンプで食って寝る』という番組があるんですけど、そんな新しいライフスタイルに出会えるような番組がいいよねという話をいつもしています。
見て終わりじゃなくて、そこからなにかを自分で始めて体験するきっかけになるような、体験まで繋げられるコンテンツはいいですよね。
太田:テレ東の番組だと、テーマが狭ければ狭いほど喜ばれるような印象はあります。
間宮:情報が溢れかえっているなかで、たまたま触れたものに興味をもってもらえるかがすごく大事になっていると思います。例えば、キャンプをゆるゆる楽しそうにしている映像を見てそれが趣味につながったり、たまたまテレビを見たときにちょっとした情報が乗っかっていて、それに対して興味をもってもらえたりするようなコンテンツが、いま1番共感を得られるのかなと思います。
コンテンツの在り方が多様化する現代では、提供されたものからまた「新たな楽しみ方」を見つけられるように、受け手の視野に広がりをもたせ、自然と行動したくなるようなコンテンツこそが、選ばれていくのかもしれない。
合田知弘◎テレビ東京 コンテンツ事業局コンテンツビジネス部。2006年入社。ネットもテレ東・TVerほか見逃し配信サービスの立ち上げ・運営等を経て2019年から現職。新ドラマ『共演NG』(10月26日スタート・月曜22時~)『アノニマス』(21年1月スタート・月曜22時~)ほか製作中。
太田勇◎テレビ東京 コンテンツ事業局ドラマプロデュース部。2002年入社。演出/プロデューサー。『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』『今日からやる会議』『100文字アイデアをドラマにした!』『知らない人んち』『YOUは何しに日本へ?』『ピラメキーノ』『太鼓持ちの達人』『山田孝之の東京都北区赤羽』などを担当。
間宮由玲子◎テレビ東京 コンテンツ事業局ドラマプロデュース部。2017年入社。ドラマの二次展開(DVD・ブルーレイ、商品、イベント、配信など)業務を担当したのち、現在は『青春高校3年C組』『今日からやる会議』などバラエティ番組のビジネス展開業務、10月から放送開始の連続ドラマ『歴史迷宮からの脱出〜リアル脱出ゲームxテレビ東京』のプロデュース業務を担当。