テレワーク中こそ、台所でドラッカーを実践しよう

Getty Images

コロナ禍で男子厨房に入る!という人が増えている。料理カメラマンとして数千皿を撮影してきた筆者が編み出したのが、料理が下手でも喜ばれる「手抜きめし」。第2弾はフライパン料理こそ、マネジメントの父、ドラッカーの理論にあうという話だ。


キッチンで「選択と集中」を


テレワーク中の在宅男子が今まで近づかなかった台所に入るということは、ある意味でライフスタイルのイノベーションです。マネジメントの父ピーター・.ドラッカーの言うところの「認識の変化」です。ということで、今回は一見すると無理やりっぽく見えるかもしれませんが、ドラッカーの言うイノベーションがキッチンで実践できることを証明したいと思います。

まずは「選択と集中」は戦略の定石。一つの分野に特化(選択)し、そこへ集中的に戦力を注ぎます。「成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない」(ドラッカー)。

前回、在宅男子は「フライパンの一択」と書きましたがその理由はここにあります。焦点を絞り、単純化するということでもあります。にわか在宅者があれこれ調理器具に手を出しても結局なにも身につかず終わってしまうリスクを認識しましょう。

僕は主婦雑誌の撮影も多く、北は北海道、南は鹿児島まで多くの一般家庭のキッチンでも撮影を行ってきました。世の主婦が、料理レパートリーを涙ぐましい努力に末に獲得してきた事実を目の当たりにしてきました。家庭のキッチンは主婦たちの主戦場。とてもにわか在宅男子がたちうちできるものではありません。というわけで、男子はフライパン一択です!

できればマイ・フライパンを手に入れる


そこで肝心のフライパン選びですが、すでに家にあるものを使ってももちろんOK。焦げ付きにくいテフロン加工のものが一般的かと思います。ただもし可能であれば、僕は鉄フライパンをお勧めします。

手入れが大変というイメージがありますが、正直どこが大変なのか僕にはわかりません。錆びやすいという人がいますが、頻繁に使っていれば錆びる暇もありません。ちなみにテフロン加工は数年も使っていると表面が剥げてきますが、剥げた部分は口の中に入っていることをお忘れなく。

まずは小さく始めよ。小フライパンが使いやすい


にわかにキッチンに立った者が、急に料理上手になるわけはありません。いきなり家族全員分の料理を作るなんてリスクが大きすぎます。ドラッガーも「イノベーションを成功させるには、小さくスタートしなければならない」と言っています。つまりフライパンも小さなサイズから始めるのです。

直径18センチのフライパンは一人分の料理を作るのに最適なサイズ。酒の肴など、調理はまず自分の分だけにとどめておきます。あるいは夕食時に奥さんが作った料理にプラスαで一品添えさせていただくというスタイルが大切。これだと、例え味付けに失敗したとしても、ダメージは最小限ですみます。ドラッガーも「イノベーターはリスクを冒さない」と言っています。

逆に、小さく始めれば、時にリスクのある大胆なレシピにも挑めます。日々、料理を続け、次第に自信と実力がついたところで、ワンサイズ大きいフライパンに移ればいいのです。改良を加えつつ革新を目指しましょう。
次ページ > フライパンを育てる楽しさも料理の醍醐味

料理・写真・文=小林キユウ

ForbesBrandVoice

人気記事