ビジネス

2020.07.17

家ごはんの新たな選択肢 「出張料理」が食の悩みを解決する

「子どもが離乳食を食べてくれない」
「緑の野菜を食べてくれない」

こんな悩みに直面したことのある親御さんは意外と多いのではないだろうか。それにもかかわらず、子どもの食の課題を解決してくれたり、相談に乗ってくれたりするサービスは意外と少ない。そうした課題を解決すべく、2017年5月に立ち上がった企業が「シェアダイン」だ。ボストン・コンサルティング・グループ出身で、共に主婦であり母親でもある飯田陽狩氏と井出有希氏の2名によって共同創業。

同社はユーザが入力した場所と食の嗜好から料理家をマッチング、料理家がユーザ宅を出張訪問し料理を作り置きしてくれる、出張シェフのマッチングプラットフォーム「シェアダイン」を運営している。2019年3月には定額サブスクリプションサービス、2019年10月から法人向け福利厚生サービス「シェアダイン ウエルネス」を手がける。

そして先日、Coral Capital、マネックスベンチャーズ、三井住友海上キャピタル、日本生命保険、iSGSインベストメントワークス、フューチャーベンチャーキャピタル、ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井、ReBoost代表取締役の河合聡一郎、および複数のエンジェル投資家から総額2.2億円の資金調達を実施したことを明かした。

栄養士や調理師など資格を持つシェフなど700名が登録、首都圏・東海・関西を中心に2020年7月時点で累計10万食以上を提供し、サービスを使うユーザの約8割が女性で「新しいレシピを学びたい」「料理の悩みから解放されたい」といったニーズを捉え、創業から成長を続けている。

今回、離乳食から生活習慣病まで様々な食の課題に対応する出張料理サービスへの思い、そして資金調達から進む次なる道について共同創業者の1人、井出有希に話を聞いた。

世の中に溢れる課題を解決する「食のパーソナライズ化」


食への悩みを抱えている人は多い。

「シェアダイン」ユーザーの約7割は子育て世代であり、最初はそのニーズに応えるためにスタートした事業だった。だが、徐々に世の中に溢れる食の課題に直面する。

アレルギー体質の人、キッズアスリート、筋トレをする独身男性・女性、健康的な食生活を心がけていきたい人。そして生活習慣病や糖尿病の人々への塩分少なめのメニュー作りに悩む病院からの相談。食に関する悩みは世の中に溢れていた。

家族構成が以前の当たり前から変化する世の中で、食卓を守る存在が必ずしも母親ではなくなった。更に食生活の変化から今は5人に1人が生活習慣病を抱えていたり、食物アレルギーを持つ人も増えてきたりと、食の課題に向き合う専門的な知識が昔より必要になってきている。そこにはテクノロジーが欠かせないと、井出氏はいう。

「専門家が食卓ごとに寄り添うことで家庭の嗜好をテクノロジーでデータベース化し、ご利用者様にメニュー提案をしていきます。パーソナライズされたサービスを提供するのにテクノロジーを使っていきたいと思っています。食卓を守る仕組みを社会が作っていけたらと思います」
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文=新川諒 人物写真=小田駿一

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