料理初心者は「肉じゃが」ではなく「丸暗記」から始めよ。その理由とは?

Gettyimages

「毎日ごはんがつくれるのはクックパッドのおかげです」

クックパッドで働く私たちが、ユーザーの皆さんからよく頂くこの言葉。素直にありがたい。

コロナウイルスの影響で日常的に家でご飯を食べる回数が増えて、料理が負担になっていないかと心配していたが、クックパッドでは、これまでダントツに多かった「節約」「簡単」というキーワード検索ががくんと減った。

「せっかく家にいるのだから、少し手間がかかっても美味しいものを作ろう」と意気込んでいる人が増えたようだ。いままでとは少しちがう食卓の風景が生まれてきている実感がある。


いろいろなユーザーを見てきて、料理をアバウトに、柔軟に楽しんでいる人の特徴が見えてきた。お料理をつくりながら、自分なりの味を見つけている人だ。

逆に、レシピ通りにつくることに重きをおいている人は、料理はできるようになるが、上手になっていないと感じているようだ。心理学的にも、自己効力感が強いほど、実際にその行動を遂行しやすい傾向にあるという。「言われた通りにしないと失敗するぞ」といった高圧的、強制的な意識があると、「自分にもできる」という自己効力感はなかなか伸びないそうだ。

つまり、料理を無理なく楽しく続けていくには、「レシピ通りにつくらないと失敗する」という不安から解放されること、自己効力感、「自分でも料理ができる」という自信や安心感をもつことが大事だということだ。

ここで、多くの人は、「そうか。よーし、やっぱり料理の基本をしっかり身につけないと。基本といえば、肉じゃがみたいな定番メニューからよね?」と奮い立ち、レシピと向き合う。

かくいう私も、20代半ばを過ぎるまでは、ほとんど料理をしていなかった。親や学校の調理実習から教わったことはまるで身についていなかったし、クックパッドもなかったから、レシピ本を買ってきてそれをつぶさに読んでまで料理するなんて、面倒で仕方がなかった。

けれど結婚を機に、栗原はるみさんの大ベストセラー『ごちそうさまが、ききたくて。』というレシピ本を頭から最後まで何回か繰り返しつくり、「丸暗記」をしたのだ。

そのおかげで、今では料理が大好きで、得意だと自信をもって言える。この私の自己効力感は、栗原さんというモデルに憧れ、憧れの人の料理を何度も再現しながら成功経験を重ねて、徐々に高まっていったのだと思う。

料理上手になるには、こんな感じで、自分の好きな料理家の本を「丸暗記」するのが一番の近道かもしれない。クックパッドでも、お気に入りの投稿者さんのレシピをかたっぱしからつくって、料理が得意になったというユーザーはけっこう多い。
次ページ > 「料理が上手になった気がしない」

文:小竹貴子 構成:加藤紀子

ForbesBrandVoice

人気記事