コロナ禍の清らかな光? 「Nizi Project」と「NiziU」の人気の秘密

「NiziU(ニジュー)」(c)Sony Music Entertainment (Japan) Inc./JYP Entertainment.


このままでいいんだと自信を持てる声かけと、もっと頑張りたくなる声かけ、その使い分けが巧みなのです。そして、声掛けだけでなくリアクションでもモチベーションを高めます。目を細めたり、口が塞がらなくなったり、思わず笑ってしまったり。

参加者のパフォーマンス中に彼が見せるリアクションは、目の前のパフォーマンスへの素直な賛辞で、パフォーマーを奮起させます。

個性をありのまま肯定する言動と、「もっとこの人を喜ばせたい」と参加者を奮起させる言動。J.Y. Park氏の存在こそが、参加者の圧倒的な量と質の努力を可能にしたのではないでしょうか。

3点目は「オーディションの熾烈なイメージを覆す、メンバーたちの清らかさ」です。

Nizi Projectに関して、SNSでも「心が洗われた」というフレーズを多数目にしました。参加者やJ・Y・Park氏の人柄と、「密着プロジェクト」としてのNizi Projectは、非常に相性が良かったと考えられます。

日々の練習の様子や仲間との舞台裏の様子も非常に見応えがあり、まさに数カ月に及ぶオーディション期間の参加者の姿勢が「応援したい」という感情移入のポイントとなりました。

蹴落とし合い、バチバチ火花散るやりとり、などを想定していた自分を恥じてしまうほど、参加者同士のやりとりは清らかでした。

前述もしましたが、オーディションに参加する女子たちは、「ライバル」という言葉に違和感を覚えるくらいに、「仲間」なのです。お互いの実力を認め合い、敬意を払い合い、互いを心から大事に思い合って、一緒に合宿を楽しもうとする前向きな気持ちが伝わってきます。

Huluなどインターネット配信の他、日本テレビ系列の朝の情報番組「スッキリ」で特集企画として定期的に放送されていたことも、老若男女にファン層を広げた理由だと考えられますが、まさに朝のお茶の間に届けるにふさわしい、ほのぼの感も「Nizi Project」の魅力です。

プロジェクト初期こそ、煽情的なリアリティショーに見慣れた視聴者なら「こんな展開になるのでは」「こんなひどいどんでん返しがあるのでは」と少しは推測したはず。

でもそんな意地悪な推測をことごとく鮮やかに裏切り、熾烈なオーディションのはずなのにほのぼのとした空気で進む密着放送。慣れた頃には、もうどっぷりファンになっているから不思議。彼女たちの清らかな姿が演出だったら私はもうお手上げです。

2018年頃から始まったと言われている第3次韓流ブーム、コロナ禍で猛烈に加速している感覚があります。中でもNizi Projectは非常に興味深い。鬱屈とした気分が広がる中、その清らかさとひたむきさに勇気付けられた人は少なくないはず。グローバルに羽ばたくNizi Uに今後も注目です。

連載:経済を動かす「女子」の秘密
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文=山田 茜

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