同族経営が多い業界の未来
──筆記具業界、あるいはもう少し広く文房具業界に対しては、どのような展望を持っていますか。
この業界は同族経営が多いことも原因にあるのですが、長年にわたって製造や流通の構図が大きく変わらず、提携などもなく、各社単体での動きが中心となっています。それだけ各社が力を持っているとも言えるのかもしれません。
ただこれからますます世界で勝負をしていくのであれば、せっかくそれぞれに認められる技術や商品を持っているわけですから、力を合わせて「オールジャパン」としてアピールしていく動きを、次の世代の社長たちではしていきたいですね。その際の協業の形が、提携になるのか、あるいは違うものになるのか、そこにはいろいろな議論があって良いと思っています。
──各社の強みが異なるので、掛け算をした方が良いということですね。
そうですね。例えば、弊社は筆記具メーカーとして、海外で一定の売上があって、流通網も構築されています。一方で、国内では文房具メーカーとしては有力ですが、海外でのシェアをあまり伸ばせていない会社などもあります。そのような会社が弊社の販売ルートを活用して、海外進出を加速させていくことも考えられると思います。
そうしたなかで、弊社側にもいろいろな相乗効果がもたらされることが期待されます。業界内では、各社の経営層同士のつながりの中で通じ合える部分があり、少しずつこの手の話も出てきています。
──業界内での横のつながりが強く、かつ次のトップ(次期社長)が見えている、だからこそ取れる動きがある、これは業界に同族経営が多いことの強みですね。
私くらいの年齢で社長になっている人も出てきていますし、これから世代が変わっていく中で議論を深めていきたいです。
老舗筆記具メーカーの次代を担う石川氏は、「時代の変化」に対しては、デジタルとの共存や、書くことが脳に対して与える影響を研究しながらの可能性の追求。また「グローバルな動き」に関しては、各国の特徴、国民性を見据えながら戦略と、的確に未来を見据えた変化を意識している。
業界再定義も含め、変化を訴えかける石川氏の言葉には、業界をリードする企業としての決意も感じることができた。
「グローバル化2.0」時代にもっとも求められるのは、なによりもこのような「変化する力」なのだ。
連載:『グローバル化2.0』時代に活躍する
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