これは、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスとスタンフォード経営大学院の研究チームが最近発表した研究結果にも通じるものだ。研究チームは1960~2010年に米国で起きた経済成長の20~40%が職場での人種と性の平等化によるものだったと分析した。
経済学誌エコノメトリカに掲載された論文によると、米国での医師や弁護士の白人男性の割合は1960年には約94%だったが、2010年までには約60%に減少。同じような推移が他の多くの分野でも見られた。研究チームはこれを手掛かりに、職場でのバランスが国内総生産(GDP)にどれほど貢献しているのかを分析した。
研究チームは「1960年には、あまり優秀ではない多くの白人男性が医師や弁護士として働いていて、非常に優秀な他グループの人々の多くが排除されていたとみられる。過去50年間で、こうしたグループが各領域で変革を起こしてきた」と述べた。
この変革は経済を全体的に改善するだけでなく、白人男性の収入にも打撃を与えた。データからは、人材の再配分により、白人男性の収入が12%減少したことが示唆されている。
しかし研究チームは、黒人男性の収入が29%、黒人女性の収入が51%、そして白人女性の収入が77%も上がったことで、社会全体にはるかに大きな利益をもたらしたと論じている。
ただ雇用の障壁がまだ存在していることは明らかであり、その内容は露骨な差別から、社会の特定の部分における教育の機会の欠如までさまざまだ。社会的規範さえも、人々が労働人口に入る妨げとなりかねない。
「米国における過去50年間のGDPの成長の4分の1以上は、労働市場のこうした障壁の減少によるものだった」と研究チームは説明している。「その成長が具体的にどこから生じたのかというと、多くは女性が家庭を離れて就職、特に高技能職に就いたことによるものだ」