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Nuro

元グーグルのエンジニア2人が立ち上げた、自動運転テクノロジー企業「Nuro(ニューロ)」は2018年初旬にステルスモードを抜け出し、宅配用の小型ロボットを世間に公開した。彼らがその当時、自動運転車やロボットタクシーではなく、デリバリーロボットを選んだ理由はごくシンプルなものだった。

宅配用のロボットであれば、人間を乗せる自動運転車を開発する企業が直面する複雑な規制の問題を回避できるし、早期に収益化が図れるという目論見があったのだ。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を襲った今、彼らの選択が極めて賢明なものだったことが示されている。

「僕らはパンデミックが起こるなんて考えもしなかった」と、Nuroの共同創業者でJZの愛称で呼ばれるCEOのJiajun Zhuは話す。大手スーパーマーケットのKrogerと提携を結んだNuroの自動配送テクノロジーの需要は3倍に伸び、現在はウォルマートやドミノ・ピザへのサービス提供の準備を進めている。

「ロボットを活用した非接触型のデリバリーの需要は高まっている。人々のために出来る限りのことをしていきたいと思う」とZhuは続けた。

カリフォルニア州マウンテンビュー本拠のNuroは、累計約10億ドル(約1070億円)を調達しており、その資金の大半はソフトバンク傘下のビジョンファンドからの出資だ。創業当初は目立たない存在だった同社は、自動運転テクノロジーをいち早くビジネスに結びつけた企業として存在感を高め、2020年度のフォーブスの「AI 50」リストに選出された。

フォーブスはAI 50で、米国で最も成功が期待できる人工知能関連の企業を選び出している。

自動運転領域では過去4年で、数十億ドルもの資金が数十社のスタートアップに注がれてきた。アルファベット傘下のウェイモは、ロボットタクシーの商用化に向けて、最速で進んできたものの、技術的ハードルやパンデミック後に発生した懸念により、その計画に遅延が生じている。

ウェイモはその結果、自動配送部門のViaへの注力を高め、Nuroや同じくAI 50に選出された自動運転トラック企業の「TuSimple」と同じカテゴリで先を争うようになった。アマゾンが12億ドルで買収したロボットタクシー企業のZooxも、自動運転テクノロジーを物流分野で活用しようとしている。

編集=上田裕資

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