ビジネス

2020.06.01

自動運転ロボットNuroがドラッグストア大手と提携、処方薬を配送

Nuro

自動運転による配送ロボットを開発する「Nuro」が来月から、米国の大手ドラッグストアCVSの顧客向けに処方箋薬などのアイテムの配送を開始する。シリコンバレー本拠の同社の電動式配送ロボットは一般的な乗用車の半分程度の小型サイズで、既に米国の各地で様々なアイテムを運んでいる。

CVSとのパイロットプログラムは6月からテキサス州ベルエアーで始動する。初期段階では1店舗限定で始まるこの配送サービスは、CVSの公式サイト及びアプリで処方薬などのアイテムを注文し、“自動運転による配送”を選択した顧客に無料で提供される。

「処方薬の配送への需要は以前よりも高まっている」とCVSヘルス幹部のRyan Rumbargerは声明で述べた。「当社は医薬品への迅速なアクセスを望む顧客らに幅広い選択肢を与え、利便性を高めていきたい」

Nuro は2016年の設立以来、累計10億ドル(約1080億円)をソフトバンク傘下のビジョンファンドやグレイロックなどから調達しており、初期の段階から自動運転の商用化を目指してきた企業の1社として知られている。

グーグル傘下のウェイモは、ロボットタクシーの商用化を目指し、ここ数年の間、アリゾナ州などでパイロットプログラムを実施中だ。Nuroのアプローチはウェイモとは異なり、乗客を乗せない配送やデリバリーに特化した小型ロボットを走行させることで、競合より先に自動運転テクノロジーを商用化しようとしている。

新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、人間同士の接触が起こらないコンタクトレス(非接触)な配送テクノロジーの魅力は高まっている。Nuroの小型配送車両であるR2は、都市の郊外を低速で走行するよう設計されている。

Nuroは今年2月に合衆国運輸省から、R2を公道で走行させるための許可を受けた。R2はミラーやハンドルなどの人が運転するための装備を一切持たない自動運転配送車で、生鮮食費や食品の出前向けに設計されている。

そして4月にカリフォルニア州も、同社の車両がシリコンバレー周辺を走行するための許可を出していた。

医療物資の運搬でも活躍


Nuroは全米最大のスーパーマケットチェーンのクローガー(Kroger)やウォルマート、ドミノ・ピザともパイロットプログラムを実施しており、先月は新型コロナウイルス感染症の治療にあたるカリフォルニア州の2カ所の病院の医療スタッフや患者向けに、医療物資を運んでいた。

Nuroの共同創業者でプレジデントのDave Fergusonは声明で「当社の自動運転車両をヘルス領域という新たなカテゴリに送り込めたことに感激している」と述べた。「CVSとの取り組みを通じ、医薬品や処方薬へのアクセスを容易にし、顧客が求めるアイテムを自宅に届けていきたい」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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