マウンテンビューに本社を置くNuroを創業したのは、元グーグルの自動運転部門のエンジニアら二人だ。Nuroはソフトバンクの資金を得て、ロボットを用いた配送サービスを新たな次元に拡大させる。
Nuroは昨年、Greylock PartnersとGaorong Capitalから9200万ドルを調達しており、まだ創業間もない同社の累計調達額はこれで10億ドルを超えた。
「当社は過去2年半で素晴らしいチームを作り上げ、最初の配達サービスも立ち上げた。パートナー企業の助けも得て、人々の暮らしを根底から変えるテクノロジーを実現したい」とNuroの共同創業者のDave Fergusonは声明で述べた。
自動運転分野ではアルファベット傘下のウェイモらによる、ロボットタクシーの実用化に向けた取り組みが続いているが、一般レベルに普及するまでには、まだ相当な年月が必要だ。
一方で、配送やロジスティクス分野での自動運転テクノロジーは急速な進化を遂げ、先日はアマゾンが5億3000万ドル以上の資金を、自動運転ソリューションを提供する「Aurora(オーロラ)」に出資した。
オーロラを率いるクリス・アームソンと、Nuroの共同創業者のFergusonは、グーグルの自動運転プロジェクトの同僚だった。
Nuroの自動運転に対するアプローチが特徴的なのは、デリバリー専用の小型自動運転車両の開発に特化していることだ。Nuroの車両のサイズは一般的な乗用車の半分程度で、コストも安い。
昨年からは生鮮食品の配達の試験プログラムを開始し、大手スーパーマーケットのKrogerとも提携を結んだ。また、トラック物流企業のIkeにライセンス提供を行い、アリゾナ州でも配達のテストを実施中だ。
ソフトバンク・インベストメントのMichael Ronenは、今回の出資にあたり「Nuroの優れた開発チームは、自動運転テクノロジーを実用段階に引き上げた。彼らはわずか2年でロボットによる配送というコンセプトを具体化し、リアルなビジネスにした」と述べた。
Nuroの小型ロボット車両には、他の自動運転車両と同様な、LiDARや高解像度のイメージセンサーなどの先端的テクノロジーが搭載されている。しかし、ハイウェイを走行しないため、遠くまで見通せるセンサーなどの高価なパーツを必要としない。
また、乗客を載せることがないため、エアバックやシートベルトなどの装備も必要なく、全体的に低コストに抑えられている。